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交信直後 エアアジア機不明 ジャワ島発、162人搭乗 「厚い雲避ける」悪天候か
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12月28日、インドネシア・スラバヤの空港には、消息を絶ったエアアジア機の乗客の家族らが集まり、航空当局者に情報の確認を求めた=2014年(AP) インドネシア第2の都市スラバヤからシンガポールに向かっていた格安航空「エアアジア」(本社・マレーシア)の8501便が28日早朝、インドネシア・カリマンタン島付近上空で消息を絶ち、行方不明となった。乗客155人と乗員7人の計162人が搭乗しており、最後の交信時、現場空域は悪天候だったという。乗客の多くは年末年始の休暇をシンガポールで過ごそうとしていた人たちで、家族や友人は空港に集まり、無事を祈りながら情報を待った。
消息を絶ったのは、エアバスA320型機。エアアジアによると、搭乗者はインドネシア国籍が155人、韓国3人、シンガポール、マレーシア、フランス、英国が各1人で、子供16人と乳児1人も含まれているという。インドネシアとシンガポールの当局はヘリコプターや艦艇を派遣、不明機の捜索を続けている。
インドネシア運輸省によると、不明機は28日午前5時36分(日本時間午前7時36分)にジャワ島のスラバヤを出発。機長は午前6時12分、ジャカルタの管制に「厚い雲を避けるため進路を左方向に変え、高度を3万2000フィート(約9750メートル)から3万8000フィートに上昇させる」と連絡してきたが、直後の6時17分に交信が途絶えた。最後の交信時にはカリマンタン島とビリトゥン島の間のカリマタ海峡周辺を飛行中だったとみられる。
マレーシアの航空会社をめぐっては、3月8日にクアラルンプールを北京に向け離陸したマレーシア航空機(239人搭乗)が消息を絶ちオーストラリア西方沖で墜落したとみられている。7月17日にはウクライナ東部ドネツク州の上空で、アムステルダム発クアラルンプール行きのマレーシア航空機が撃墜され、乗員乗客298人全員が死亡。しかし、エアアジアは系列会社も含め、重大な航空事故を起こしたことは一度もなかった。
「強く結束していかなければならない」。自社機の行方不明という事態を受け、“空の風雲児”と称されるエアアジアグループの最高経営責任者(CEO)、トニー・フェルナンデス氏(50)は28日、ツイッターで関係者にこう呼びかけた。
エアアジアは経営危機にあった2001年、フェルナンデス氏が25セント(約30円)で買収。1路線を2機の中古機で結んでいた経営を立て直し、多額の負債を1年余りで返済した。安全管理の厳しさは保つ一方で、徹底した経費削減によって従来の航空会社の半額以下の料金を実現させ、それまで空の旅が「高根の花」だった東南アジアの庶民の心をがっちりつかんで事業を拡大。今ではエアバスA320を150機以上運航させ、東南アジアを中心に約20カ国を結ぶネットワークを築いた。
一度撤退した日本市場への再参入も狙い、今年7月に楽天などと異業種連合を組んでエアアジア・ジャパンを再設立させ、中部空港を拠点として来年夏の就航を目指している最中だ。
スラバヤの空港には28日、不明の報を受けた乗客の家族や友人らが集まった。両親ら7人が乗っていたという若い女性は、地元テレビの取材に「休暇でシンガポールに向かっていた。情報が何もなく、心配だ」と泣き崩れた。(SANKEI EXPRESS)