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映画自前制作でハリウッド「殴り込み」 アマゾン、劇場公開1カ月でネット配信
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アマゾンを率いるジェフ・ベゾスCEO(最高経営責任者)。劇場映画の制作に乗り出すことが明らかになった=2014年6月8日、米ワシントン州シアトル(AP) ネット通販世界最大手のアマゾン・コムは19日、劇場映画の制作に乗り出すと発表した。今年後半以降、傘下のアマゾン・スタジオが月1本のペースで制作し、劇場公開の最短で1カ月後にはネット配信する。アマゾンは、運営する映像配信サービス向けコンテンツの自前制作に注力。今月11日には米映画とテレビドラマを対象としたゴールデングローブ賞でオリジナルドラマが初受賞。13日には米アカデミー賞に4度輝いたウディ・アレン監督(79)と契約もしたばかり。米国では映像配信サービス最大手のネットフリックスも映画制作に参入しており、ネット勢力のハリウッドへの殴り込みが相次いでいる。
「アマゾンのオリジナル映画は顧客を驚かせ興奮させる作品の代名詞となり、ファンは今後、さまざまな形態で映画を楽しむようになるだろう」
アマゾン・スタジオのロイ・プライス副社長は19日に出した声明で、映画制作の成功に自信を示した。
米業界誌ハリウッド・リポーターや米紙ニューヨーク・タイムズ(いずれも電子版)などによると、アマゾン・スタジオは2010年に設立され、主にテレビ番組の制作を手掛けてきた。プライス副社長は昨夏にも米業界紙に「映画30本の制作を準備している」と語っており、満を持しての参入となる。すでに「オーシャンズ11」などで知られるスティーブン・ソダーバーグ監督(52)や、「ワールド・ウォーZ」のマーク・フォースター監督(45)らハリウッドの大物と協力関係にある。
制作する映画は 娯楽大作ではなく、制作費が500万~2500万ドル(約5億~30億円)規模の作品になるという。さらに映画館で公開した後、4~8週間後に自社の映像配信サービス「プライム・インスタント・ビデオ」でも見られるようにする。既存の映画会社が制作した作品は劇場側への配慮から、ネット配信は公開の9カ月~1年後になっている。
アマゾンの“おきて破り”に対し、早くも米劇場主協会(NATO)が、反発姿勢を示すなど波紋が広がっている。
アマゾンは、今年のゴールデングローブ賞で性同一性障害をテーマにしたテレビドラマ「トランスパレント」が、コメディー・ミュージカル部門の作品賞と男優賞に輝いた。さらにアレン監督と契約を結び、1話30分のドラマシリーズを配信することも明らかにした。
米国では昨年9月に、映像配信サービスで先行するネットフリックスが、米国・中国・香港・台湾合作の映画「グリーン・デスティニー」(2000年)の続編を米映画会社と共同で制作すると発表。さらに米俳優、アダム・サンドラーさん(48)が主演とプロデュースを手掛ける映画4本を制作し、映像配信サービスだけで独占公開する計画で、既存の映画会社の脅威となりつつある。
米国では若者を中心に劇場ではなくネットで映画を楽しむ人が増えている。既存映画会社はこれまで自社制作の作品のネット配信時期を遅らせてきたが、最近は最初から配信を前提とし、時期も前倒しの傾向にある。ネット勢力による自前制作が台頭すれば、ハリウッドの秩序が一気に崩壊しかねない。
あるメディアアナリストは米紙ニューヨーク・タイムズにこう語った。
「消費者は映画を映画館で見ることと、自宅で見ることに大した違いがあると思っていない」(SANKEI EXPRESS)