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空気抜いた「不正球」使用か NFLが調査、全米騒然 ペイトリオッツ、パスしやすく

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空気抜いた「不正球」使用か NFLが調査、全米騒然 ペイトリオッツ、パスしやすく

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ボールに規定違反があったとされる1月18日のアメリカン・カンファレンス決勝でパスをするペイトリオッツのQBトム・ブレイディ=2015年、米マサチューセッツ州フォックスボロ(AP)  米国最大のスポーツイベントである米プロフットボールリーグ、NFLの優勝決定戦「スーパーボウル」への出場を決める試合で、不正が行われたとの疑惑が発覚し、大騒動になっている。今月18日に行われたアメリカン・カンファレンス(AFC)リーグ決勝で圧勝したニューイングランド・ペイトリオッツが、パスなどがしやすいようボールの空気圧を意図的にNFLの規定より低くしたというもの。空気圧の低いボールは投げる際に握りやすく、捕球もしやすいため、パス攻撃に有利になるという。

 12個中11個が規定下回る

 疑惑は20日に米スポーツ専門チャンネルESPNなど米メディアが一斉に伝えた。インディアナポリス・コルツと対戦した18日の試合は雨の中、ペイトリオッツの本拠地ジレット・スタジアムで行われた。前半は17対7で、ハーフタイムをはさんだ後半は28対0と、ペイトリオッツが圧倒。45対7でスーパーボウルの出場権を獲得した。

 NFLでは対戦チームがそれぞれ攻撃の際に使うボールを12個ずつ用意するが、18日の試合後にペイトリオッツのボールのうち11個が規定より空気圧が低かったことが、試合後に分かった。対戦相手のインディアナポリス・コルツのボールはすべて規定を満たしていた。NFLでは、なぜ空気圧が低くなったかの調査に乗り出した。

 レギュラーシーズン中の昨年11月16日に両チームが対戦した際、コルツの守備選手がボールの異常に気付き球団職員に報告したことが、今回の調査の伏線になったという。

 罰金、ドラフト指名権喪失も

 意図的にボールの空気を抜いていたことが判明すれば、最低で2万5000ドル(約294万円)の罰金を科され、ドラフト指名権を失う可能性があるという。

 ペイトリオッツのビル・ベリチック監督は21日の記者会見で「NFLが求める事柄すべてについて、全面協力する」と表明。NFLのトロイ・ビンセント執行副社長は「2、3日以内に調査を完了させたい」と、早期解決に意欲を見せた。

 これに対し、ペイトリオッツのパスを投げるクォーターバック(QB)のトム・ブレイディ選手は、ボストンのラジオ番組で、「心配するようなことではない。こんな話には答えるまでもない」と疑惑を否定した。

 空気圧の低いボールは投げやすく捕球しやすいため、パス攻撃を多用するチームには大きな利点となる。とりわけ、18日の試合のように低気温や悪天候の試合では、その効果はさらに高まるという。

 ビッグイベントに水差す

 NFLでは過去にも不正疑惑が発覚したことがあった。2003年のスーパーボウルで、タンパベイ・バッカニアーズのQB、ブラッド・ジョンソン選手が「ボールを管理する複数の人間に7500ドル(約88万3600円)を支払い、100個のボールにつかみやすくする細工をさせた」と告白したのだ。ジョンソン選手は細工の内容は明らかにしなかったが、全米に大きな衝撃が広がった。

 米国ではスーパーボウル当日は事実上の祝日となり、テレビ視聴率も毎年のように年間最高を記録するビッグイベントだ。今年は2月1日にアリゾナで行われるが、疑惑が熱戦に水を差すのは避けられそうもない。(SANKEI EXPRESS

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