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【サッカー日本代表】ハリルホジッチ監督来日 日本代表再生 鬼軍曹に託す
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FC東京対横浜M戦を視察に訪れたバヒド・ハリルホジッチ監督=2015年3月14日、東京都調布市・味の素スタジアム(中井誠撮影) 日本サッカーの再生を託す、代表新監督が来日した。ボスニア・ヘルツェゴビナ出身のバヒド・ハリルホジッチ、62歳。現役時代はFWの点取り屋で、旧ユーゴスラビア代表として1982年のワールドカップ(W杯)スペイン大会に出場した。
代表監督としてコートジボワールとアルジェリア代表をW杯出場に導き、昨年のブラジル大会では、優勝したドイツと互角の攻め合いを演じて冷や汗をかかせた。
頼もしいのは、「鬼軍曹」とも称される厳格な指導ぶりだ。わが日本代表はどうも、指導者からの信頼が過ぎると結果が伴わない。ジーコやザッケローニがそうだった。主力選手を信頼し、会話を重ね、家族のような好チームを作り上げて期待されたが、W杯では、いずれも1勝もできなかった。
日本代表を決勝トーナメントに進めたのは、唯我独尊のトルシエであり、選手と一線を画して自らの戦術を貫いた岡田武史だった。
八百長疑惑で退任したメキシコ人のアギーレはどちらのタイプだったか、判然としないまま去ったが、ザッケローニ時代の代表選手を中心に戦ったアジア杯ではベスト8止まりに終わった。
ハリルホジッチは民族紛争に明け暮れたボスニア・ヘルツェゴビナで、自身も銃弾で大けがを負っている。そうした経歴が「私はフットボールに全てをささげている」といった発言に説得力を持たせている。そして同じ国の巨人、元日本代表監督のオシムと旧知の間柄であることも期待を抱かせる一因だ。
何か新しいものを生み出しそうな、期待半ばで病に倒れたオシムのやり残したことを、この男なら形にしてくれるのではないか。まだ何も始まってはいないが、そんな願望がある。
日本代表はW杯ブラジル大会で敗れ、アジア杯でもベスト8止まり。各年代の代表もアジアで勝ちきれない。女子代表なでしこまで、アルガルベ杯で9位に終わり、サッカー界は今、どん底にある。何とかフル代表の再生で全体を引き上げてほしい。
≪いきなり辛辣「もう少しやる気、力強さ見せて」≫
ハリルホジッチは来日2日目、さっそくJ1のFC東京-横浜M戦の視察のため、東京・味の素スタジアムを訪れた。
0-0で終わった試合後、早くも鬼軍曹ぶりをみせ、「もう少しやる気や力強さを見せてほしかった」と語った。
やる気も力強さも足りないということだ。FW出身らしく、「ゴールがなかったのは残念だった」とも話し、「FC東京のGKはよかった」と好セーブを連発した権田修一だけに及第点を与えた。
ロンドン五輪では守護神役を務めた権田も、フル代表ではこれまで出たり入ったりの第3GK候補だった。昨年のW杯でもベンチ入りしながら出番はなかった。新監督の高評価には「日本人なら当然だが、入れたらうれしいし、入れなければ悔しい」と話した。
新監督の代表選考には、これまでの常連組も戦々恐々だろう。ハリルホジッチが求めるのは、90分間、ハードワークを続けられる選手だ。
日本の2大エース、本田圭佑(けいすけ)には走力に、香川真司には守備力に難点がある。運動量と献身を求め続けたオシムのサッカーと同様で、チームにスターは求めない。
その意味では、オシムの評価が高く、今季もドイツで好調を維持している岡崎慎司の泥臭さは当確だろう。ショートカウンターを多用するなら前線にスピード豊かな永井謙佑(けんすけ、名古屋)や宮市亮(FCトゥウェンテ)の再生にも期待がかかる。
他国や一流クラブからのオファーを断って日本代表監督に就任したのは、自分が求めるものと同じメンタリティーを日本に感じたからだという。
それは、厳しさ、規律、尊敬、真面目さといったものであると就任会見で話した。選手には、監督の期待を裏切らないようお願いしたい。
代表選手が、というわけではないが、本当にそれが日本や日本人のメンタリティーであると、自信をもって言い切れないからでもある。国民性は必ずその国のサッカーに表れる。(EX編集部/撮影:中井誠、桐山弘太、AP、ロイター、共同/SANKEI EXPRESS)