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人生に変化はつきもの 作品で問いかけ ベン・スティラー 映画「ナイト ミュージアム エジプト王の秘密」
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ヴァレンティノのファッションショーに登場し、来年2月に監督、主演、脚本を務める新作が公開されることを発表したベン・スティラー=2015年3月11日、フランス・首都パリ(AP) 真夜中になると博物館の展示物がゴソゴソと楽しそうに動き出す、ご存じベン・スティラー(49)の人気シリーズが3作目で“最終章”を迎えた。邦題は「ナイト ミュージアム エジプト王の秘密」。何度も事業に失敗し、結婚生活も破綻させてしまった夜間警備員のラリーと、いよいよ一人前の大人として巣立とうとする息子のニック(スカイラー・ギソンド)-シリーズを通じてギクシャクした父子関係の新たなステージを、カナダ出身のショーン・レヴィ監督(46)がセンチメンタルに描いてみせた。
スティラーは「今回は前作から5年後の話なので、ラリーとニックの関係は大きく変化しています。ニックはもうティーンエージャーになっていて、大学へ行くため家を出ようとしている状況なんですよ」と紹介した。
ラリーが働く米ニューヨークの「アメリカ自然史博物館」で、プラネタリウムの新設を祝うパーティーが盛大に開催されたが、祝辞を予定していたセオドア・ルーズベルト(ロビン・ウィリアムズ)ほか、ローマ兵士、アメリカ先住民などの展示物たちが突然、暴れ出し、パーティーは大混乱。来賓は、ほうほうのていで逃げ帰ってしまった。展示物たちが我を失ってしまった謎を解き明かそうと、ラリーはニックや展示物たちと英ロンドンにある大英博物館に足を運び、古代エジプト王、マレンカレ(ベン・キングズレー)に会うのだが…。
「登場人物たちがいつもと違う博物館で冒険を体験するということよりも、人生では必ず変化が起き、同じ状態がずっと続くことはあり得ない-と訴えることの方が重要でした」とスティラー。だからこそ、物語は展示物にかかった魔法が消えて彼らの存在が脅かされる話となるし、親離れしたい息子との折り合いの付け方も話の軸となっていく。スティラーは「ラリーは子供の独立を認め、いずれ別れを告げなければなりません。博物館にいる彼の“友達”も皆、永久にこのままの状態ではいられないことに気づきます。同じ状態が続かないことは世の中の現実です。この作品は存在の意味を問いかけているのです」と強調した。
ラリーたちが恐竜の化石に襲われてしまうなど、迫力満点の映像は本作でも健在だが、スティラーが石器時代の穴居人「ラー」というもう一つのキャラクターに挑んだことも興味深い。いくつもの場面で自分自身を相手に演技を重ねたスティラーは、より多彩で複雑な感情表現を求められた。「展示物のラーが動き出して僕(ラリー)を目にした途端、『自分の父親だ』と思い込み、本当の息子のニックに対してちょっと嫉妬するんだ。こういうタイプの2役は今まで経験したことがなかったね」
本作は、シリーズを盛り上げた米国の2人の名優、ミッキー・ルーニー(1920~2014年)とロビン・ウィリアムズ(1951~2014年)の遺作となった。3月20日、全国公開。(高橋天地(たかくに)/SANKEI EXPRESS)
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