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ショーン レノンとサイケデリックな夜 ザ・ゴースト・オブ・ア・セイバー・トゥース・タイガー初来日
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ハロウィーンを意識した衣装でパフォーマンス。左がシャーロット、右がショーン=2014年10月31日、東京都港区・ブルーノート東京。(C)Photo_by_Tsuneo_Koga THE GOASTTの初来日公演はハロウィーン当日とあって、メンバーはドン・キホーテで購入したという衣装を着て登場した。私が見た2ndステージではショーン レノンは演奏しにくいと衣装を変えていたが、ドラキュラの歯は付けたまま。モデルとしても世界的に活躍するシャーロット・ケンプ・ミュールは、サーカス団の団長をイメージして真紅の燕尾服に赤毛のウィッグをつけ、舞台女優のように似合っていた。
オープニングから、最新アルバム「ミッドナイト・サン」に収録された1曲目「トゥ・ディープ」から3曲目「アニマルズ」までのサイケデリック色の強いナンバーを立て続けに演奏。すでにフレイミング・リップスやベックなどとツアーをしてきたとあって、メンバー5人の息はピッタリ。演奏するほどに音の描く色彩が濃厚になっていく。
シャーロットに取材した際には「1800年代のサーカス用のオルガンなど昔の楽器をたくさん持っていて、演奏しているとアイデアがどんどん降りて来るのよ」と話していて、この日はUFOドラム(おそらくハングドラムの変形)やメロトロンなどをバンドの機材と一緒に持ち込んでいた。それらの独創性あふれるサウンドの重厚感、父ジョン・レノンを彷彿させるショーンとシャーロットの歌声を軸にしたハーモニーも美しく、映像と合わせて深遠な空間に誘引されていく流れがとても心地良い。
中盤では「アメリカの演歌みたいなもの」と、ペギー・リーの歌などで知られる「ゴールデン・イアリングス」を熱唱。ショーンのギターが圧巻で、その熱量のまま、シャーロットが南アフリカでの体験を元に書いた曲「ヨハネスブルグ」や、時間の短いライブではやらないという「グレート・エクスペクテーション」も披露した。
後半はピンク・フロイドを想起させる展開もあり、ギターソロにも情感が籠もる。また、グロッケンをたたくシャーロットを“ティンカーベル”と紹介するなど、ほほえましい一面も。「ハッピー・ハロウィーン!」と幾度も繰り返すショーンは実にリラックスして日本語を交ぜながら曲解説をするが、この2人を間近で見られるだけでもラッキーなせいか、演奏に身体を揺らすよりじっくり見入る客が多かった。最後はシド・バレッドのカバー曲で壮大に締め、浮世離れした気分に浸れたすてきな夜となった。(音楽ジャーナリスト 伊藤なつみ/SANKEI EXPRESS)