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歌はもちろん、独自のスタイルで魅了 17歳の歌姫ロード 夏の来日公演
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17歳には見えない存在感で魅了したロード。終盤にはゴールドの衣装に身を包んでいた=2014年7月29日、東京都港区(Yoshika_Horitaさん撮影、提供写真) 夏フェスをはじめ、海外アーティストの来日公演が続いたこの時期だが、最も記憶に残ったのはロードだ。7月29日に品川プリンス ステラボールで行われたステージには、黒の衣装を着たロードを挟み、白服のミュージシャンが2人登場。右のドラムとシンセドラムの演奏を軸に、左の鍵盤奏者がシンセサイザーやシーケンサーを使ってギターやブラス系のサウンドも出し、時にはレイヤーになったロードのコーラス部分も奏でていく。ロードはというと、驚くほどダイナミックに動き回り、それは時にシアトリカルで一瞬シェークスピアの舞台が頭をかすめてしまうほどだった。
万能楽器のシンセサイザーが進化するにつれ、バックバンドを率いるより、コンパクトなトリオ編成でパフォーマンスするアーティストは増加中だ。見た目が絵になるし、コントロールしやすいこともあるだろう。サマーソニック2014で来日した女性シンガー・ソングライターのBANKSも、ドラム奏者とベース兼シンセサイザー担当との3人でライブを盛り上げた。
エレクトロニックな音楽にドラムの生演奏を共存させたのは、昨今ではジェイムス・ブレイクやSBTRKT、ディスクロージャーが有名だが、ロードはよりビートを意識しているのがわかる。というのも、サウンドの核を成すジミー・マック(key)はもともとドラマーだった。しかもドラム機器にトリガーを付けて瞬時に反応させるシステムを用い、サウンドに加え照明も同期させ、瞬発力のあるパフォーマンスを展開。視覚、聴覚を瞬間瞬間で捉え、彼女の世界観を全身から浴びることができた。
一見したところケイト・ブッシュを想起させるようなルックスだが、まだ17歳とあって今時の若者と同じくヒップホップも好む。「私はラップ・ミュージックが好き。実際の私よりも、ずっとクールな自分になれる気がするから。カニエ・ウェストは昔から好きだったわ。ケンドリック・ラマーも最高。彼のアルバムは大好きだし、ステージも最高よ。あとニッキー・ミナージュも相当好きよ」と話すほどだ。
ビートを軸に、声を重ねた美意識の高い独自のコーラスも機材から発信。基本はシンガー・ソングライターながら、最先端をゆく技術で斬新な音楽を構築する。もちろん彼女の歌唱力が素晴らしかったことは言うまでもない。(音楽ジャーナリスト 伊藤なつみ/SANKEI EXPRESS)