SankeiBiz for mobile

現役OL 本音のヒップホップ Charisma.com

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSのエンタメ

現役OL 本音のヒップホップ Charisma.com

更新

普段はサザンオールスターズと嵐をよく聴くというMCいつか、とステージでは音響を担当するDJゴンチ(提供写真)  「前作『アイアイシンドローム』では“毒を吐く”というディスのイメージが付いたかと思うんですけど、今回は自分の中で消化できないことがいっぱいあり、それが曲になりました。ディスをストップするのかトッピングするのかという、迷いや弱さが全体を通してあります」

 そう話すのは現役OL2人によるカリスマドットコムで、ラップと歌を担当するMCいつか。ディス(dis)とはヒップホップ用語で“批判する、侮辱する”という意味。これまで彼女たちは代表曲「HATE」や「メンヘラブス」で歌うように、女の本音をトラックに吐き出してきたが、初のフルアルバムを制作するにあたって悩みに直面した。タイトルは「DIStopping」だ。

 悔しさを歌に

 「一番表現しやすいのは“悔しさ”で、何かあると携帯とかに思いを書き留めて、トラックをいただいて曲を作ろうと思った時に言葉を引っ張りだします」

 特に悔しい思いを託したのは、表面的に相手に合わせて太鼓持ちをしつつ、自分を優先する人を歌った「スーパーガール」と、自分から全く動かずにうまく生き抜いていく人を歌った「ジェンガジェンガ」という。

 「周りに似たような人がいて、その人のことを思って書いてるつもりでも、実は自分も同類で、わかるから書ける。結局ディスっても、自分に返ってくる感じですね」

 取材ではリリックを書くMCいつかがよくしゃべり、DJゴンチが言葉を足す。2人は中学のダンス部からの友人だ。

 「恋愛相談することもあるので、私はいつも歌詞を見ると、自分のことかなって思う(笑)。特に当てはまったのは『sodaiゴミのkoi』。この歌は好きですね」

 2人ともAstroという日本のヒップホップ・グループが好きで、そこから4つ打ちでヒップホップをやりたいと、今のスタイルになった。連日の仕事の忙しさに追われ、その一方でたまっていく不満や感情。人間関係の軋轢(あつれき)もある。それら満たされない心の隙間に埋めるかのように、意味のある言葉や尖った単語をグチャッと詰め込み、しかも韻を踏むよりも聴こえ方で遊んでいくセンスが斬新で楽しめる。そして2人に迷いがあるからこそ、彼女たちの歌に共感する人は増えるのではないだろうか。(音楽ジャーナリスト 伊藤なつみ/SANKEI EXPRESS

ランキング