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ファンが後押しする陣取り合戦 ロックンロール三国志?っと!II~黄巾ゾックゾクの乱~
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手前からテラスに設置された小ステージで演奏するN’夙川BOYS、左が中ステージのキュウソネコカミ、奥が大ステージにいるThe_Mirras=2014年9月23日、東京都江東区・新木場スタジオコースト(後藤壮太郎さん撮影) 数多いイベントの中でも《N’夙川BOYS presents ロックンロール三国志?っと!II~黄巾ゾックゾクの乱~》は想定外の展開ばかりで、最初から最後まで楽しめた。この企画は2回目だが、今回は大掛かりだ。新木場スタジオコースト内に設置された大中小のステージ(城)を取り合いながらN’夙川BOYS、The Mirras、キュウソネコカミという気鋭の3バンドが演奏するという設定。戦うことになったきっかけは横山光輝の漫画『三国志』第1巻で、その経緯はネット上に動画で予告されたほどの凝りようだ。
各バンドが「夙」「木」「窮」と書かれたのぼり旗を携えて登場し、正面の大ステージに陣取ったN’夙川BOYSの演奏からスタート。The Mirrasの畠山承平(Vo/G)は諸葛孔明の衣装を用意したほどの気合いの入れよう。順に1曲ずつ演奏する間、他のバンドはそれを見て踊るなど和やかな雰囲気だ。
しかし2周すると小ステージにいたキュウソネコカミが場所の交代をけしかけ、騎馬戦へ突入。馬に見立てたゴムボートに代表者が乗って帽子を取り合うが、ファンの後押しもあって進むために会場全体に熱気があふれる。勝者順に新たなステージへ機材を移動する間には貴重なミニライブも披露され、全てにおいてお得感たっぷりなのがうれしい。
キュウソネコカミのヤマサキセイヤ(Vo/G)が騎馬戦で勝利し、大ステージでメジャーデビュー曲「ビビった」を威勢よく歌うと観客は手を振り上げて応じ、N’夙川BOYSが人気曲「路地裏BE-POP」を歌うと、キャッチーなメロディーに合わせて会場全体が歌う。The Mirrasは1stシングル「観覧車に乗る君が夜景に照らされてるうちは」で応戦し、ファンは身体を激しく揺らした。
1つのイベントに数バンドが出演した場合、対バンという形で持ち時間内に演奏することが多いが、このように1曲ずつ順に演奏することで、各個性を比べながら堪能できるのもいい。再び2周終えた後にも騎馬戦が行われ、結局各バンドが大中小のステージを体験。マーヤLOVE(N’夙川BOYS)いわく「観客が近いこともあるし、一番小さいステージが一番燃えた」とのことで、出演者自身も心底楽しんでいるのが伝わってきた。
最後には全バンドが正面の大ステージに集合し、“The 黄巾族”として一緒にレコーディングした「超めんどくせぇ!!!」を披露、続けてN’夙川BOYSの代表曲のひとつ「物語はちと?不安定」を熱唱して幕を閉じた。(音楽ジャーナリスト 伊藤なつみ/SANKEI EXPRESS)