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身売りのシルク・ドゥ・ソレイユ、中国で甦るか マンネリ化など課題多く
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投資グループに株式の大半を売却したことを説明するシルク・ドゥ・ソレイユの創業者で大株主のギィー・ラリベルテ氏。中国進出によって、シルクを復活させるための売却だと理解を求めた=2015年4月20日、カナダ・ケベック州モントリオール(AP) 日本でも人気の高いカナダのエンターテインメント集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」は20日、株式の大半を、米投資ファンド「TPGキャピタル」や中国の投資グループ「複星国際」などで組織する投資家グループに約15億カナダドル(約1460億円)で売却すると発表した。
1984年の設立以来、物語仕立ての華麗な曲芸ショーで世界を席巻(せっけん)したが、2008年のリーマン・ショック以降の世界的な景気低迷に加え、ショー自体が飽きられ業績が低迷。スタッフを削減しても追い付かないため、創業者が保有をする株式の売却で資金を調達し、中国への本格進出による復活を目指す。
AP通信やフランス通信(AFP)などによると、シルクの創業者で大株主のギィー・ラリベルテ氏(55)はカナダのモントリオールで開いた会見で、「これまでの30年でわれわれはシルク・ドゥ・ソレイユというブランドを築いたが、新たなステージに進化するため、素晴らしいパートナーを得た」と説明。
さらに「新たな課題に対応するには、シルクだけではどうにもならない」とも述べ、シルクの財務を健全化させるには、外部からの新たな投資が必要との考えを強調した。
これに対し、復星国際の郭広昌(かく・こうしょう)会長(48)は声明で「シルクのパフォーマンスは非常に魅力的で、人々が期待する質の高いコンテンツだ」と絶賛。「われわれには中国の生活様式に定着するビジネスの推進によって、世界的なリーダーになるという目標がある」と述べ、シルクのブランド力を生かした中国での本格展開に意欲を見せた。
詳細は明かされていないが、TPGが株式全体の6割、復星国際が2割、そしてシルクの本拠地モントリオールを有するケベック州の資産運用会社が、シルクの本社とクリエーティブチームがカナダにとどまることを条件に株式の1割を取得。ラリベルテ氏も株式の1割を保有し続け、今後も「戦略面やクリエーティブ面での助言」を続ける。
1984年の設立以来、世界48カ国330都市で計1億6000万人を動員したシルクだが、リーマン・ショック以降の景気低迷とショーのマンネリ化で業績が悪化。2012年には初の赤字に転落した。
全世界で5000人いたスタッフを2割削減して4000人体制にしたところ黒字に戻ったが、もうけの5割は米ラスベガスでの8つの常設ショーで、海外の巡回公演の収益は改善できないまま。
10年以降、新作のショーは失敗が続いている。そこでショーの内容刷新と共に、独自でブロードウェー・ミュージカルを製作するため、昨年、演劇部門を設立した。
こうした一連の大改革の柱が、中国への本格進出となる。だが、その先行きは楽観できない。
4月20日付米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は、中国のギャンブラーはラスベガスと違ってショーといった賭け事以外の娯楽に興味を持たないと指摘。さらに、サーカス研究の第一人者であるコンコルディア大(モントリオール)のパトリック・ルルー教授の「中国人は大勢の踊り手が同じ振り付けで正確かつアクロバティックに踊るパフォーマンスを好むが、これはシルクのショーとは異なっている」との意見を紹介した。
「自分自身にさらなるクリエーティブな挑戦を課したい」と語ったラリベルテ氏は、火を食べる芸を得意とした大道芸人から身を起こしたカナダでは立志伝中の人物だ。
創業者による株売却の決断が起死回生のショーを演出できるかどうか、当分目が離せそうにない。(SANKEI EXPRESS)