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静かなフォーミュラE、予想外の大盛況 「5年後にF1の人気を追い抜く」
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首都ロンドンで開催された「フォーミュラE」の今季最終戦を走る総合優勝を決めたネルソン・ピケJr.選手のマシン=2015年6月28日、英国(AP) 昨年9月に開幕した電気自動車(EV)レースの世界シリーズ「フォーミュラE」は28日、ロンドンで最終第11戦を行い、自動車レースの最高峰、F1の元総合王者を父に持つネルソン・ピケJr.選手(29)=ブラジル、ネクストEV所属=が初代総合王者に輝いた。
開幕当初は、迫力あるエキゾーストノート(排気音)がとどろかない“無音レース”と揶揄(やゆ)する声もあったが、騒音の心配がないため、市街地での公道レースとして行われ、各地で予想以上の大盛況となった。来季は2レース増え計13戦となる見込みで、日本も誘致を目指している。
「本当に白熱したレースだった。(運転に集中していたので)ゴールするまで総合優勝には気付かなかったよ」
F1で3度の総合王者に就いた偉大な父(62)と同じ名を持つピケJr.選手は、英メディアにこう喜びを語った。
この日のレースでは7位に入り、11戦合計ポイントで決まる総合優勝を争っていたセバスチャン・ブエミ選手(26)=スイス、eダムスルノー所属=をわずか1点の僅差で振り切った。レースはサム・バード選手(28)=イギリス、ヴァージン所属=が今季2勝目を挙げた。
フォーミュラEは、環境に優しいEVの普及を目的に、F1も主催する「国際自動車連盟(FIA)」が開催。昨年9月に北京で開幕した。
9カ月で世界10都市を回り、ロンドンでは27、28日に第10、11戦が行われた。バッターシー・パークの市街地に1周約2.9キロの公道コースを設け、29周で争われ、最高時速240キロでマシンが疾走した。
2日間の観客数は計6万人に上った。ロンドン都心部という開催場所に加え、チケット代もF1の6分の1以下と安く、10歳未満の子供は無料だったため、多くが家族総出で見物に訪れた。第10戦は英国内でのテレビ視聴者が46万人に達した。
マシンは静かなモーター音だけを残して走り、F1とは違い排気音も排ガスもまき散らさないため、市街地での公道レースを可能にしたのが最大の魅力だ。「(公道コースは)挑戦的で興奮する」(ピケJr.選手)とレーサーにも好評だ。
各チームが同じ専用マシンを使うため、F1とは違いマシンの性能に差がなく、どのレースも最後まで誰が勝つか分からない接戦になるのも人気を呼んでいる。
ただ、現在のバッテリーの充電性能では1台のマシンで約1時間のレースを走り切ることができないため、2台を用意し選手は途中で乗り替える必要があり、なかなか普及が進まない市販のEVと同じ課題もある。
開幕戦を見た伝説の元F1レーサー、ニキ・ラウダ氏(66)は「マシンはくるくる回るおもちゃのようだ」と酷評した。
しかし、運営事業者のアレハンドロ・アガグ最高経営責任者(CEO)が開幕前に「爆音がしないので家族連れで楽しめる」と語った通りになった。
来季は2レース増やす方向で「交渉中」といい、パリなどが候補になっている。日本でも今国会にフォーミュラEの開催を念頭に、公道レースを可能にする法案が提出される予定だ。
エコとエキサイティングを両立する「モータースポーツの未来像」としての期待は大きく、シリーズに参戦しているヴァージン・グループ会長のリチャード・ブランソン氏(64)は英BBC放送でこう語った。
「5年後にはF1の人気を追い抜くだろう」(SANKEI EXPRESS)