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【調布小型機墜落】左に機体傾きか 生存者から聴取

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【調布小型機墜落】左に機体傾きか 生存者から聴取

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小型機の墜落事故から1週間が経過した現場=2015年8月2日、東京都調布市(福島範和撮影)  東京都調布市の民家に小型飛行機が墜落し3人が死亡した事故で、小型機の生存者が警視庁調布署捜査本部に、死亡した機長と搭乗者の2人について「機体の左側の席に座っていた」などと説明していることが2日、捜査関係者への取材で分かった。捜査本部などは当時の機内状況の把握につながる証言とみて、さらに聞き取りを進める。事故は2日で発生から1週間。重量やエンジンの出力不足など複数の要因が組み合わさって起きたとみられ、原因特定にはなお時間がかかる見通しだ。

 小型機には、操縦していた川村泰史(たいし)機長(36)=横浜市港北区=ら男性5人が搭乗。捜査関係者によると、重傷を負った3人のうち一部が、死亡した川村機長について「1人で(前方左側の)操縦席に座っていた」と説明。ほかの4人は後方の搭乗席にいたが、同じく死亡した早川充さん(36)=東京都練馬区富士見台=も左側の席に座っていたという。

 犠牲になった鈴木希望(のぞみ)さん(34)の家の墜落現場からは、その3軒隣の民家にあったアンテナが見つかった。左翼部分の塗料が付着しており、小型機は最初にこの家のアンテナに接触、機体が左に傾いた状態で住宅街に墜落したとみられる。

 生存者の一部は、墜落後に左翼部分から出火したと説明。左側に座っていた川村機長と早川さんが犠牲になった可能性があると捜査本部はみている。

 事故の一因になった可能性がある事実は、これまでにいくつか判明している。

 小型機の整備・管理を行う日本エアロテック(調布市)などによると、小型機は事故4日前の7月22日、燃料を満タンにして約40分間飛行。その後、川村機長が国土交通省に提出した事故当日の飛行計画書には、調布飛行場-大島空港の片道の飛行時間(約1時間)の5倍にあたる5時間分の燃料を積載していると記載されていた。

 小型機自体の重さは1245キロ。燃料の重量は約280キロあったとみられ、搭乗者5人の体重などを加えると、小型機のマニュアルで離陸可能な限界とされる最大重量(約1950キロ)を超えていた疑いもある。

 また、小型機は調布飛行場の滑走路(全長約800メートル)の端まで走行し離陸。機体が最大重量に達し、気象条件が事故当日と同じ「無風」「気温34度」の場合、安全な飛行のために必要な滑走距離は約950メートルとされ、距離が足りていなかった可能性もある。

 捜査本部は住民らが撮影したビデオなどから、小型機が高度が上がらないまま低空飛行していたことなどを確認。離陸直後にエンジンの出力不足など何らかのトラブルが起きた疑いもあるとみている。

 ≪専門家「点検手順の厳格化を」≫

 民間の小型機が住宅やその周辺に墜落する事故は過去にも起きているが、住民が巻き込まれて死亡したケースは国の統計がある1974年以降初めてだ。これまで事故を受けて国が法令を変えるケースはなかったが、専門家からは「点検手順を厳しくし、確認体制を強化するべきだ」などと国に新たなルールづくりを求める声が挙がっている。

 過去10年間の小型機の事故件数は年間1桁で推移しているが、「下げ止まりつつも、なくならない」(国土交通省)。

 国は安全性を向上させるため、トラブル後に不時着する余裕を持たせるため最低安全高度を設定したり、空港周辺の建築物に高さ制限を設けたりしている。さらに、毎年の小型機の耐空証明検査に加え、昨年4月からは資格取得後には義務付けられていなかった技能審査を最低2年に1回のペースで操縦士に課した。

 元日航機長で航空評論家の小林宏之氏は、原因究明が最優先とした上で「小型機事故が起こる度に『基本確認の徹底を』と毎回言われている。旅客機並みの厳しさとは言わないが、点検状況の確認体制など仕組みを強化すべきだ」と訴えている。(SANKEI EXPRESS

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