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熾烈な競争勝ち抜いた中国エリート大学生 “ゆとり”日本の未来は明るいか
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プログラマーを志望する北京大学の学生
中国を代表する二大都市、北京と上海の大学を訪ねたことがある。街並はもちろん、大学の雰囲気や学生の気質など、あらゆるものが異なって見えた。
北京大学を筆頭に、北京に門を構える大学は、パスポート提示が必要だった。一方、上海の大学はセキュリティーがそれほど厳重ではないらしく、すんなりと学内に入ることができた。同じ国でありながら異国のように感じた。
北京大学の中庭は独特な雰囲気だった。大半の学生は教科書との“にらめっこ”に夢中で、ひたすら勉学に励んでいた。友達同士で話し合う、休憩をとるといった姿はなく、大きな声を出しているのは英語のスピーチを練習する学生くらいだろうか。静寂な図書館にいるような気分になった。
一方、上海の同済大学では、日本で見られる一般的な大学キャンパスの風景が広がっていた。友達同士で楽しそうに語り合う姿や、学生イベントなど、青春を謳歌しているようだった。
「一日最低10時間は勉強しているね。特に英語は毎日一人で音読しているよ」と話すのは北京大学の21歳の学生。その圧倒的な勉強量に驚いた。翻訳家やコラムニスト、放送作家、経済学者など進路はいろいろあるが、いずれの学生も将来の夢を描いていた。
「勉強するために大学にいる」という思いを強く感じた。上海の学生が勉強をしていないわけではないが、北京大学の学生とは明らかに姿勢が違うようだ。
では、中国の大学入試の仕組みはどうなっているのだろうか。現地の日本人によると、中国では各大学に入試はなく、日本で言うところのセンター試験の一回勝負で決まるそうだ。大学案内や大学入試センターがないのも頷けた。
受験科目は、 国語、数学、英語、物理、総合の5教科。総合とは、物理、化学、生物、歴史、地理、政治の総合的な問題を指す。日本の大学のように面接や小論文だけで合格できる入試はなく、計630点の全科目を受験することが必須条件となる。チャンスが一度しかない点では、日本の新卒一括採用より過酷といえそうだ。
各大学はこの試験で学生の評価を決める。大学ごとに異なる合格基準点が設定されており、難関校になればなるほど高得点が要求される。わずかな点数差が大学のランク付けを左右するのだ。
「人民網日本語版」2011年の調べによると、約933万人の高校生が大学受験をしているという。1000万人近い中から選ばれたエリート集団の実力は推して知るべしといったところか。参考までに、2011年度の文部科学省「学校基本調査」によると、日本の大学受験者数は約67.6万人だった。人口差があるとはいえ、中国の10分の1以下である。
現在の中国は、私立大学の増加や、各大学が学生定員数の幅を広げたことで、進学率が7割以上になった。高校卒業とともに留学する学生やあえて大学受験を選択しない学生も増えており、以前よりも選択肢は広がりつつある。
だが、国公立大学と私立とのレベルの差は埋まっておらず、依然として私立大学の評価は低いままだ。中国では、熾烈な競争を勝ち抜いた優秀な学生には輝かしい進路が約束されている。不況下で“ゆとり教育”を受けた日本の学生にはどのような未来が待っているのだろうか。