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「アベノミクス」業績回復に反映 円安・株高促し営業益伸び率改善

ニュースカテゴリ:政策・市況の国内

「アベノミクス」業績回復に反映 円安・株高促し営業益伸び率改善

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「アベノミクス」に対する海外からの主な評価  大胆な金融緩和などを掲げる安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の効果が早くも企業業績に表れている。

 1日までに発表された東証1部上場企業557社の2012年10~12月期決算をSMBC日興証券が5日までに集計したところ、営業利益の伸び率は前年同期比11.3%増と、7~9月期の2.0%減から大幅に改善。円安進行による採算の改善で輸出企業などが通期の業績見通しを上方修正したほか、株高で保有株の評価損が縮小した銀行や証券も業績が上向きになった。ただ、世界経済の減速などによる業績の下押し懸念は依然強く、日本経済の本格回復はまだ見えていない。

 日興の集計企業数は東証1部の42%に当たる。利益は営業、経常、最終の全てで伸び率が7~9月期のマイナスからプラスに転換。営業利益の伸び率は業種別では自動車が18.9%増、電機が2.46倍となった。

 12年3月期に巨額赤字に陥ったパナソニックとシャープはリストラに加え、円安効果が業績を下支えし、いずれも10~12月期に営業黒字を確保した。1ドル=1円の円安になれば年23億円の増益要因となるパナソニックは、為替変動で10~12月期の営業利益が30億円押し上げられた。河井英明常務は「通期でみても上振れ効果が出る」と話す。シャープも営業外で80億円の増益要因と、円安が最終赤字の縮小につながったもようだ。

 株価の上昇は、保有株の評価損の縮小を通じて業績を押し上げた。会計上のルールでは、保有株の株価が取得時の半分以下になると評価損を計上する必要がある。9月末に大手銀行5グループの減損額は7100億円だったが、株価上昇によって12月末には9月末に比べて45%減の約3900億円に縮小し、3グループが最終増益を確保した。

 相場の活況で株式や投資信託の販売手数料が増え、証券大手5社の12年4~12月決算も大幅に改善。3社が黒字転換し、2社が増益となった。

 ただ、相場が上昇に転じたのは、輸出企業が為替予約を手当て済みだった12年度後半だったこともあり、「円安・株高が本格的に業績に反映されるのは14年3月期の決算から」(日興の伊藤桂一チーフクオンツアナリスト)とみられる。アベノミクスが効果を持続できるかどうかで業績が左右されそうだ。

 日興の集計では10~12月期に47社が通期の営業益を上方修正した。一方で、中国や欧州の需要が回復していないことなどを要因に87社が下方修正しており、世界経済の変調が企業業績に響く状況に変わりはない。

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