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女性デザイナー育成事業に出資 カンボジア ワタミ基金
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自身の「ドリーム・ガールズ・プロジェクト」について語る温井和佳奈さん(温井さん提供) デザイナー育成を通してカンボジアの女性たちの自立を目指す「ドリーム・ガールズ・プロジェクト」を運営する温井和佳奈さん(株式会社ブルーミング・ライフ代表)が、ノーベル平和賞受賞者のムハンマド・ユヌス氏らが立ち上げた基金の第1号出資先の一つに決定した。バングラデシュで貧困削減のためのマイクロファイナンス事業を担う「グラミン銀行」を創設したユヌス氏は、2006年にノーベル平和賞を受賞したことで世界的に名を知られる。
今年1月、日本のワタミが九州大学ユヌス&椎木ソーシャルビジネス研究センターの協力を得て、「一般社団法人ソーシャルビジネス・ドリームパートナーズ」の設立を決定。ワタミが1億円の事業運営資金を拠出し、ユヌス氏が提唱するソーシャルビジネスの要件を満たす事業に出資を開始することになった。
ユヌス氏の提唱するソーシャルビジネスとは、(1)利潤の最大化ではなく、貧困など社会問題を解決することを経営目的とする(2)財務的、経済的な持続性がある(3)投資の元本を超える配当は行わない(4)従業員に市場賃金と標準以上の労働条件を与える-などの条件がある。
温井さんがカンボジアで展開する事業は「ユヌス・ソーシャルビジネスと呼ぶにふさわしい」として、出資第1号の事業の一つに選ばれた。
温井さんらの事業は、11年2月にカンボジアで開かれた「女性のためのデザインコンテスト」から始まった。目覚ましい経済成長を遂げるカンボジアだが、貧富の格差は拡大しており、特に女性たちは職業的スキル(技能)を磨く機会に恵まれず、選べる職域が狭い。
温井さんの事業は、キャリアチャンスの少ないカンボジアで、デザインの才能を持つ女性たちを発掘し、プロとして育成するのが目的。11年に首都プノンペンで開かれた第1回コンテストには200人余りが応募し、入賞者の作品は手帳や壁時計などに商品化された。12年には第2回コンテストが開催され、同年秋には北西部の都市シエムレアプでも予選を開催。参加者は全国に広がり、延べ520人に増えた。3月には第3回が開かれる。
コンテストに続いて温井さんらが手がけるのは、入賞作品を中心にしたデザインのライセンス販売事業。協力企業との間でライセンス契約を結び、化粧ポーチやパスケースなどの商品を開発し、製造・販売する。
カンボジアの女性たちが考案したデザインを商品化することで利益を上げ、14年にはカンボジアなどでショップを開店、15年にはデザイナーを育成する実践的なビジネススクールの開校へと発展させる計画だ。
この計画のため2月には、温井さんの経営するブルーミング・ライフがカンボジアに拠点を設けた。現地担当として常駐している古田美奈子さんは「カンボジアで暮らしてみて、日本人の価値観の押しつけではなく、この国の人たちの気持ちに寄り添った事業展開が大切だと感じた。カンボジアならではの創造力を生かしていきたい」と意気込みを語る。
カンボジアのデザイン市場は、経済成長に伴う企業数の増加や事業分野の拡大から広がりを見せており、デザインの需要は高まっている。しかし、プロのデザイナーは不足しており、発注が国外へ流れ出るケースも多い。デザイナーを増やし、仕事の質を高めることは、この国の経済成長に貢献するだけでなく、個性豊かなビジネスシーンの創出にも寄与すると期待されている。(在カンボジア・ジャーナリスト 木村文)