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「アベに見習え」 安倍政権の“開幕ダッシュ”うらやむ韓国世論 

ニュースカテゴリ:政策・市況の海外情勢

「アベに見習え」 安倍政権の“開幕ダッシュ”うらやむ韓国世論 

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 ほぼ同時期に発足した韓国の朴槿恵(パク・クネ)政権と日本の安倍晋三政権のスタートダッシュの違いを韓国メディアが盛んに論じている。アベノミクスで日本の景気が上向き始めているのに対し、朴政権は閣僚の就任さえままならず、貴重な最初の2週間を棒に振ったというのだ。「右傾化」警戒論一色だった韓国世論に現れた「アベに見習え」との空気はいつまで続くか。

 閣僚就任遅れや安保危機

 「日本の安倍首相は韓国より2カ月だけ早く新政府をスタートさせたが、両国が置かれている状況はあまりに異なる」。こう論じるのは韓国の有力紙朝鮮日報(電子版、3月11日)社説だ。「一時は経済的、社会的に墓場のように沈み込んでいた日本はまさに大きな転換点を迎えているが、新政権初期のリーダーシップがいかに重要かを示している」と面はゆいほど安倍政権を持ち上げている。

 朴政権に対しては「『新政府はスタートから100日が任期の5年を左右する』といわれるが、この重要な時期は瞬く間に過ぎ去り、黒い雲が覆うように安全保障上の危機が差し迫っている」とし「このままでは国の雰囲気全体が落ち込み、新たな危機が襲いかかってくるだろう」と手厳しい。

 先月(2月)25日に発足した朴政権が今月(3月)11日に閣僚候補16人のうち、13人を任命するまで、与野党対立で閣僚の就任手続きさえ進まなかった“異常事態”を指すものだ。その間も3回目の核実験を強行した北朝鮮が朝鮮戦争の休戦協定「白紙化」まで主張し、安保危機ばかりが広がった。

 どこが「国民幸福時代」か

 中央日報(電子版、3月4日)のコラムは、韓国を「キム女史」、日本を「渡辺夫人」、米国を「スミス夫人」にたとえ、韓国の日本への焦りと嫉妬を描いた。

 《キム女史「問題だ。2カ月で円が10%以上下がった。日本がむやみに金融緩和を進めたせいで先が見えない」。渡辺夫人が笑みを浮かべる。「日本は苦労したじゃないですか。景気低迷に失業に。金融緩和で経済再生に出るだけのことはあります」とスミス夫人が助け舟を出す。キム女史だけ心配が山積だ。大国の通貨戦争に挟まれ将来が真っ暗だ》

 広報体制のささいな違いも「アベはよく、クネはダメ」のやり玉に挙がる。中央日報(電子版、3月5日)のコラムは、人事を「迅速にプロフィルまで添付して知らせる」日本の官邸に対し、韓国大統領府報道官は「情報を隠すのにきゅうきゅうとし、聞いてもいない大統領の外国語能力はくどくど宣伝する」と批判。「韓国では袋だたきの安倍政権だが、謙虚に学ぶものがある。『国民への礼儀とサービス』。それから目をそらしながらどうして『国民幸福時代』を論じられるだろうか」と朴大統領の公約を皮肉った。

 違いの訳は「的」の絞り方

 「全く異なる韓日新政権の船出」と題した朝鮮日報(電子版、3月9日)のコラムは、「小泉時代の再来だ」と景気上向きに沸く日本に比べ、「ソウルの春は落ち着きがない。景気低迷はいつまで続くか見当もつかない。企業は為替レートの問題で輸出が振るわず、すくみ上がっている。北朝鮮の核の脅しまで加わり、国民が感じる重圧は倍になった」と指摘する。

 違いの原因は、福祉や雇用創出といった大きな「的」を前面に押し立てその的が揺らぐ朴政権に対し、景気問題に絞り込んだ安倍政権の機動的な財政出動など「3本の矢」に市場が好感したためだと分析した。

 その上で、野球にたとえ、「安倍政権は一回で大量得点したようなものだ」とし、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で韓国が一次ラウンドで敗退したことを念頭に、「両国の新政権の経済勝負はまだ一回も終わっていない。韓国は『九回裏までゲームは終わらない』という言葉に最後の一筋の望みを託すことになるだろう」と結んでいる。

 

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