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海外情勢
インド、小麦腐らせ大量廃棄 輸送・貯蔵インフラなど問題山積み
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食糧安全保障法の実施で8億人への食糧配給を目指すインドで、毎年、大量の穀物が廃棄されている。英国の機械技術者協会によると、インド全国で毎年、市場価格で5000億ルピー(約8050億円)に相当する2100万トンの小麦が廃棄されているという。現地紙ヒンドゥスタン・タイムズが報じた。
同国は穀物の輸送・貯蔵インフラの整備が進まず、穀物が収穫後に農地に放置されたまま腐る事例が後を絶たない。既存の貯蔵施設は老朽化が進んでいるため、貯蔵された穀物も長期の保管ができず、廃棄される状況が続いているという。
国が買い上げによって管理する穀物も例外ではなく、政府は過去5年間にコメ4億ルピー相当と5000万ルピーの小麦を廃棄したことを認めた。1年当たりで25万人分、5年間で合計125万人分の食糧を廃棄した計算だ。
インド政府によると、同国では毎年3000人以上の子供が栄養失調で死亡、約2億人が栄養不足状態にあるとの推計もある。
こうした状況を改善するため、連立与党と政府は貧困層向け穀物配給を現在の3億1800万人から8億1000万人に引き上げる食糧安全保障法の成立を目指し、7月には閣議で了承した。
しかし、同国政府が農家から穀物を買い上げる価格は年々上昇しており、輸送・貯蔵費用と合わせた巨額の財政負担が問題視されているほか、配給制度自体が不正の温床だという声もあがる。
配給の効率的な実施にはこうした問題の解決に加え、さらに輸送・貯蔵インフラを充実させて廃棄を減らすことが必要不可欠となる。総人口の約7割に食糧を配給する野心的な新制度が確実に機能するまで、インド政府にとっては険しい道のりが待ち構えているといえそうだ。(ニューデリー支局)