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FX活況も淘汰の動き加速か 自動売買、択一式予想など新サービス続々

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FX活況も淘汰の動き加速か 自動売買、択一式予想など新サービス続々

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 安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」で円安が進んだことなどを背景に、外国為替証拠金取引(FX)の活況が続いている。店頭FXの取引高は4月に400兆円を初めて突破。1~7月の累計は前年同期比約3倍の2880兆円に上った。取引の参加者が増えるにつれ、二者択一の騰落予想や自動売買など新サービスが続々登場。一方、取引のリスクの大きさから当局や業界による規制が強化され、より信用力の高い仲介事業者への投資家のシフトが始まっているとの見方もあり、淘汰(とうた)の動きが今後加速する可能性もある。

 円安追い風に急拡大

 パソコンの画面上に並んだ数千項目のそれぞれに、2つの国旗が並ぶ。異なる通貨のペアや投資手法がインプットされた「売買戦略プログラム」の中から、個人投資家は気に入った戦略を選び、金額を入力すると取引が始まる。プロの投資家の戦略を鏡に映すように再現する「ミラートレーダー」だ。

 「システムトレード」と呼ばれる自動売買サービスの一つで、イスラエルの金融商品開発会社トレーデンシーが独自に開発。システムトレードの国内シェアの約半分を占め、FXの顧客拡大を後押しした。

 このシステムを国内のFX業者に提供しているトレーデンシーの日本代理店「インディ・パ」(東京都中央区)の本郷喜千代表は「FX取引で難しい損切りや利益確定も、自動で行われる」とメリットを強調する。

 円安進行が本格化した2012年12月以降、内定を含めてネット証券など9社が導入。一足早く11年11月に採用したインヴァスト証券は、ミラートレーダーを利用する投資家の口座数が今月までに5万を超えた。

 これとは別に最短5分など超短期の相場の上げ下げを二者択一で予測する「バイナリーオプション」も投資家の人気を集め、「ゲーム感覚」(ネット証券関係者)で一気に広がった。半面、このサービスには「賭博性が高い」との批判が根強い。

 当局・団体が規制

 これらのサービスには規制の動きが出ている。システムトレードは取引に上乗せされる手数料が投資助言への報酬ととらえられることなどから、金融庁は取り扱うFX仲介事業者に投資助言業の登録を求める方向だ。

 バイナリーオプションでは、業界団体が7月に自主規制を決めた。1つは予測する相場の時間を「2時間以上」に広げ、新規参入業者は8月から、既存業者には12月から適用。2つ目はリスクや商品の特徴を問う試験を投資家に課し、一度不合格になると同じ日に再び試験を受けられない仕組みを取り入れる。

 業界を取り巻く環境は変化し始めている。証拠金の何倍まで取引できるかを示す証拠金倍率が11年に25倍まで引き下げられるなど、FXには規制強化がついて回る。こうした動きの中、3月にはカカクコム・フィナンシャルが自主廃業した。

 一方で証券大手の大和証券グループ本社は今年1月、FX専業で東証1部に上場するマネーパートナーズグループの発行済み株式の20%を取得し、筆頭株主となった。FXは投資信託や株式より利益幅が少なく、「大手証券は本腰を入れていない印象が強かった」(ネット証券)だけに業界で波紋を呼んだ。

 大和証券は「FX業界に大きな魅力を感じている」(広報)と説明。証券業界の関係者は「若年層の取引はネットがメーンになる。『貯蓄から投資へ』の入り口として、FXを見直す動きが大手証券の間にも広がっているのではないか」とみる。

 求められる信用力 さらなる再編・淘汰も

 昨年12月にも、ポータル(玄関)サイト最大手のヤフーがサイバーエージェントFXを買収。サイバーFXは、スマートフォン(高機能携帯電話)向けのアプリの利便性をさらに強化するとともに、これまで扱っていなかったバイナリーオプションを、規制に対応した上で9月から取り扱う方針だ。

 同社は「業界を取り巻く環境は非常に速いペースで変わっている。常に新しいことをやっていく必要がある」(伊藤雅仁社長)としている。

 取引量が拡大したといっても投資家を呼び込んだのが、変動の大きい円ドル相場の動きだけに、円-ドルのペアによる取引が圧倒的に多い。どの事業者も、最も人気の高いこのペアについては低い手数料を設定していることから、収益率が下がっているのが現実だ。

 カブドットコム証券の斎藤正勝社長は「FXは、かつてのようなドル箱ではなくなった」と嘆く。

 業界関係者は「知名度が高く信頼の高い金融グループに属しているFX業者のサービスに、取引参加者が流れる傾向が出ている」と指摘。さらなる業界再編や淘汰(とうた)が進む可能性がある。 真の顧客ニーズをとらえ、法令を守りながら斬新なサービスを提供できる業者だけが生き残る厳しい戦いとなりそうだ。(佐藤裕介)

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