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消費増税想定、低所得者に1万円支給検討 首相、月内経済対策を指示

ニュースカテゴリ:政策・市況の国内

消費増税想定、低所得者に1万円支給検討 首相、月内経済対策を指示

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 安倍晋三首相は10日の閣僚懇談会で、来年4月の消費税増税を想定した経済対策を今月末をめどにまとめるよう指示した。増税後の景気腰折れを防ぐ狙い。政府は消費税率引き上げ後に低所得者に対して、1人1万円を支給する案を軸に検討に入った。こうした「簡素な給付措置」を盛り込んだ2013年度補正予算の編成検討や、企業に設備投資を促す投資減税の拡充などが柱となる。

 閣僚懇談会で安倍首相は「(消費税率を)引き上げる場合には経済への影響があるため、十分な対応策が必要だ。景気を腰折れさせてはいけない」と述べた。

 経済対策は、麻生太郎財務相と甘利明経済再生担当相が月内に取りまとめる。

 消費税増税後に想定される消費の落ち込みを防ぐための補正予算は2兆円を超える規模になる見通し。編成時期について、麻生氏は「来年の通常国会で考えていくことになる」とした。

 補正予算の柱となるのは低所得者に対する簡素な給付措置。住民税の非課税世帯などを対象に支給する案が有力だが、政府・与党内では、1人当たり1万5000円を求める声もある。簡素な給付措置は、昨年8月に成立した消費税増税法で税率8%時からの臨時的措置として実施すると規定していた。

 このほか、政権の経済政策「アベノミクス」に伴う円安で価格の値上がりが続くエネルギー価格に対する対策も盛り込む見通し。

 消費税増税後の負担軽減策の一方、成長強化策として「投資減税」の拡充策も打ち出す。設備投資減税では、生産性の高い設備を導入した企業の法人税を割り引く「税額控除」か、設備投資の減価償却を初年度に一括経費計上して税負担を減らす「即時償却」のどちらか、企業にとって有利な制度を選べる仕組みを導入する方向。

 不採算事業を再編した企業に対する税制優遇や、賃上げを実施した企業への減税措置の拡充策なども検討する。政府内で、要望のある法人税率の引き下げや、一時的な所得税減税なども議論の対象とする可能性がある。

 首相は、消費税率を引き上げるかの最終判断を、各種経済指標を見極めて10月1日に行う。政府・与党内では、今月9日に発表された13年4~6月期の国内総生産(GDP)改定値で高い成長が確認されたことで予定通り実施する環境が整ったとの見方も広がっている。

 ただ、消費税増税の影響を検証した8月下旬の「集中点検会合」では、出席した60人の識者のうち7割超が引き上げに賛成したものの、大半が実施後の補正予算や低所得対策を求めていた。

 このため、各種対策は先行して準備する必要があると判断、予定通りの税率引き上げを決めた場合は、経済対策も合わせて実施すると表明する方針だ。

 消費税増税後の経済対策の主な検討項目

 【2013年度補正予算】

 ・税率8%引き上げ後に低所得者を対象に1人1万円の現金給付支給を軸とした「簡素な給付措置」

 ・エネルギー価格の上昇に対する対策

 【投資減税】

 ・生産性の高い設備導入企業に対する「税額控除」

 ・設備投資の減価償却費を初年度に一括計上して税負担を減らす「即時償却」

 ・給与を引き上げた企業に対する減税措置の拡充

 ・ベンチャーキャピタルに出資した企業に対する税優遇

 ・中小企業減税の拡充

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