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世界主要市場で頻発するシステム障害 高速取引元凶か 市場関係者ら嘆き

ニュースカテゴリ:政策・市況の海外情勢

世界主要市場で頻発するシステム障害 高速取引元凶か 市場関係者ら嘆き

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 米国など世界の主要取引所でシステム障害が相次いでいる。ITを活用した取引の複雑化や高速取引の急拡大に、システムの開発が追いつかないとの嘆きが市場関係者から上がる。新たな金融危機の引き金ともなりかねず、当局も監督や規制の強化に乗り出した。

 頭抱える担当者

 「バックアップのシステムもうまく作動しない。どうなっているんだ!」

 米ナスダック市場のシステム部門の担当者は頭を抱えた。8月22日、大規模なシステム障害が発生し、株式などの取引が3時間余りストップした。ナスダックのような主要市場でこれほど長時間にわたって全面的に取引が停止するのは異例で、オバマ大統領にも報告された。

 米国では9月13日と16日にも、複数の主要取引所でオプション取引が一時停止するトラブルが相次いで起きた。ドイツでは欧州最大のデリバティブ(金融派生商品)取引所であるユーレックスで取引障害が8月に発生。「世界で最も先進的なシステム」と取引所側が強調していただけに、市場関係者に衝撃が広がった。米国と中国では金融機関の誤発注による大規模なシステム障害も起きている。

 世界各地の取引所で頻発するシステム障害の背景に指摘されるのが、IT化による複雑な電子取引の「死角」ともいえるコンピューターや通信機器のトラブルだ。ナスダックの例では、ニューヨーク証券取引所(NYSE)傘下の電子取引所との間で接続障害が起きた。20回以上も接続と切断が繰り返されて、通常の26倍もの取引データがナスダック側に流れ込み、処理能力を超えてパンクした。障害時のための代替システムもうまく働かなかった。

 開発追いつかず

 コンピューターを通じて1000分の1秒単位で注文を繰り返す高速取引の普及も影を落としている。各国の金融機関や機関投資家が高速取引を活用して利ざやを積み重ねているが、システムには大きな負荷がかかり、「取引所も業者も開発が追いつかない中で、不具合が起きやすくなっている」(米市場関係者)とされる。トラブルがひとたび起きれば損害は甚大だ。

 香港取引所がロンドン金属取引所を買収するなど、取引所の再編が世界的に加速しているのは、高速取引に対応するため規模の拡大を通じてシステムの増強を図る狙いもある。

 米証券取引委員会(SEC)のホワイト委員長も「問題は深刻で、取引所の技術上の脆弱(ぜいじゃく)さへの対策を強化すべきだ」と懸念を示しており、12日に米国内の取引所の幹部を集め、システム障害に備える改善策を60日以内に提出するよう求めた。

 ただ、リーマン・ショックが起きた5年前と比べても金融工学の発達で取引手法は一段と複雑化しており、システム障害だけでなく市場の乱高下の一因となっているとの見方も根強く、論議を呼びそうだ。(ワシントン 柿内公輔)

 世界の証券取引所で発生した最近の主なシステム障害

 2012年5月 米ナスダックに上場したフェイスブック株取引で障害が発生

      8月 米証券仲介大手ナイト・キャピタルがニューヨーク市場で大量誤発注

   13年3月 大証で障害が発生し先物取引などが一時停止

      8月 中国の光大証券が上海市場で誤発注し株価が急騰

         ナスダックで障害が発生し取引が3時間超停止

         独ユーレックスのデリバティブ市場で障害が発生

      9月 米国のオプション市場で障害が多発

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