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政府、農地管理後押しへ新補助金 10アール当たり2000~3000円で調整
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農地を守ることを目的に来年度に創設する新たな補助金「日本型直接支払い」について、政府が農地管理などを後押しする補助金の支給額を都府県の田10アール当たり2000~3000円とする方向で調整に入ったことが14日、分かった。新補助金は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の妥結をにらんだ農業の競争力強化策の一環で、26日に策定する予定の総合的な農業再生計画「農林水産業・地域の活力創造プラン」に盛り込む。
日本型直接支払いでは、用水路の泥の除去や農道の草刈りなど農地の管理を支援する「農地維持支払い」と、農村の環境改善活動などを対象とする「資源向上支払い」の2種類の補助金を設ける。いずれも農地が近接する農家でつくる集落ごとに支払うことを想定。2014年度は予算措置とし、15年度から法的措置として実施する。
支給額2000~3000円で調整するのは農地維持支払いで、北海道の田10アール当たり1000~2000円の支給を検討。畑も都府県は10アール当たり1000~2000円、北海道は数百~1000円とする方向だ。
資源向上支払いは、現行の農地周辺の水路管理などを支援する補助金「農地・水保全管理支払い」を組み替え、名称を変更して新設。支給額は一部を新たな農地維持支払いに回し、都府県の田の場合、現在の10アール当たり4400円を2200円程度に減額する。
新補助金を創設するのは農業の競争力強化を進めると、山間部などにある農地を維持できなくなる恐れがあるためだ。政府は競争力強化策で、5年後のコメの生産調整(減反)廃止に向け、減反に協力する農家に支払う定額補助金を14年度に削減し、減反廃止とともに撤廃する方針。TPPの妥結で安い海外産が国内に流入しても対抗できる大規模農家の育成が目的だが、農地の限られている山間地や高齢の零細農家などにはかえって不利益になる可能性がある。
このため、政府は定額補助金の削減・廃止で浮いた財源を新補助金に充て、支援を手厚くしたい考えだ。