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【NEWS EYE】米保守層に不人気のオバマケア 理由は「米国らしさ」の喪失
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米国は先進国で唯一、国民全員が保険に加入する制度がないとされ、約4800万人の無保険者がいる。オバマケアはそうした現状の打開を図る政策だ。2010年3月に成立した関連法は、個人の保険加入義務化などを盛り込み、米議会予算局は16年末までに、無保険者が2500万人減ると予測している。
ただし、無保険者に罰金を科してまで個人に保険加入するよう義務づけていることから、自主独立の精神を尊重する保守層には不人気だ。自衛のために認められている銃保有を国が規制することの是非などと並び、民主、共和両党の対立の一因となってきた。
米国には植民地時代に英国による不当な課税に反発して独立を目指した歴史的な背景もあり、医療保険加入のための保険料支払いを求められるぐらいなら、医療保険に入らない選択も認められるべきだとの考えも少なくない。
「米国らしさ」が失われることへの不安もある。貧しい境遇にあっても自ら努力を重ねて幸福を手にすることに重きを置く保守層の立場からは、国家からの支援を重視するオバマ氏のリベラルな政策は「安易な救済」と映る。
オバマケアは低所得層の保険料負担への支援などのため、10年間で約1兆5千億ドル(約155兆円)の財政負担をもたらすと試算され、保守層が掲げる「小さな政府」の理念とは対照的だ。自らも高失業率に悩む米国の中間層には、低所得層への「大盤振る舞い」で負担を背負いこむことへの不満も大きい。(小雲規生)