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TPP 関税下げ幅、着地点探る米 対日協議 依然強い産業界の圧力
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環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)をめぐる日米の事務レベル協議が29、30日、ワシントンで行われる。オバマ政権は焦点となる関税の引き下げ幅などでの妥協には慎重だ。一方で関税撤廃の要求はトーンダウンさせているとはいえ、厳しい交渉が予想されている。背景にあるのは、米産業界に根強く残る市場の完全開放を求める声だ。オバマ大統領にはTPP合意を11月の中間選挙でのアピール材料にしたいとの思惑があるが、日本に譲歩しすぎれば政権運営の致命傷になりかねないというジレンマも抱えている。
「日本は早期に意味のある市場開放を達成すべきだ」
米通商代表部(USTR)のフロマン代表は20日の電話記者会見で、日本に大幅な譲歩を迫った。29日からの協議では農産品の関税引き下げ幅や緊急輸入制限(セーフガード)の扱いが争点になる見通しだ。
一方、フロマン氏は「可能な限りの関税撤廃」との表現で、農産品の関税撤廃の例外を認める立場も示唆した。通商筋では「オバマ氏が4月の首脳会談で牛肉と豚肉の関税撤廃要求を取り下げた」との見方も出ている。ただ、それだけに「米国はこれ以上の譲歩には容易に踏み込まない」(外交筋)との見方も広がっている。
産業界で関税撤廃を求める声が強まる様相すらあることもオバマ政権の妥協を難しくしている。米国、豪州、カナダ、ニュージーランドの牛肉生産者団体は23日、「TPP合意は牛肉へのすべての関税を撤廃する高水準であるべきだ」とする共同声明を発表。豚肉関連業界でも関税撤廃にこだわる声は大きい。
こうした反発を踏まえ、米議会でも慎重論が強い。通商政策を扱う上院財政委員会のワイデン委員長(民主党)は「悪い合意ならしない方がいい」と安易な妥協を牽制(けんせい)。TPPで市場開放を迫られる米自動車産業が警戒感を強めていることもあり、民主党のリード上院院内総務は大統領に通商交渉での強い権限を与える「貿易促進権限(TPA)」法の審議を棚上げしたままだ。
オバマ政権はTPPで日本市場への輸出拡大だけでなく、知的財産保護などで米国主導のルール作りも目指す。ここに来て日本の立場に理解を示すのは、経済成長の後押しが期待できるTPP合意を11月の中間選挙に向けた得点にしたいとの思惑があるからだ。しかし行きすぎた譲歩は議会との関係を難しくしかねず、日本との間の溝は埋め切れないのが現状といえる。(ワシントン 小雲規生)