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海外情勢
G8分裂 経済へ影響、G7のリスクに エネルギー・食料供給不安
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【ブリュッセル=佐久間修志】5日に開かれた経済分野の討議では、ロシアにエネルギーの多くを依存する欧州のエネルギー問題に時間が割かれるなど、主要8カ国(G8)分裂の影響を色濃く反映。世界経済がいや応なく依存関係にあることを改めて浮き彫りにした。
ロシアは4月の主要国(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、国際通貨基金(IMF)のウクライナ支援には賛成した。だが、今も天然ガスの供給を停止する可能性は消えない。日米欧は相次いでロシア国民の渡航禁止や資産凍結などの経済制裁を打ち出した。
すでにロシア経済は減速の兆候をみせている。IMFが4月に公表した経済見通しは、2014年のロシア経済成長率が1・3%と、前回予想より0・6ポイントも下方修正された。
だが、こうしたロシアへの制裁は、皮肉にもG7自身の経済成長を妨げるリスクにもなっている。
債務危機から立ち直りつつある欧州経済は、ユーロ高の影響などから伸び悩んでいる。世界総生産の2・8%を占めるロシアの景気後退は、欧州にも大きな影響が及ぶ。また、欧州は天然ガスの約3割をロシアに依存しており、もしロシアが供給を停止すれば、世界経済にも大きな影響を与える。
ロシアはエネルギーだけでなく、小麦や大麦などの輸出大国でもあり、第一生命経済研究所の田中理主席エコノミストは「ロシアを孤立させれば、エネルギーと食料という2つの安全保障上のリスクが生まれてくる」と指摘する。
こうした実情も踏まえ、今回のG7は、エネルギーを政治的な威圧や安全保障上の脅威として利用すべきではないことを共同声明に盛り込む方向だ。バローゾ欧州委員長は「ウクライナ危機で、(エネルギー安全保障の強化が)G7全メンバーに必要であることが確認された」と指摘した。
ロシア経済というリスクを抱えたG7が今後、どのような形で世界経済を主導するのか。G7の役割が問われる。