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料金値下げは「健全な競争環境」整備次第 電力会社選べる時代到来

ニュースカテゴリ:政策・市況の国内

料金値下げは「健全な競争環境」整備次第 電力会社選べる時代到来

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 電力小売りを全面自由化する改正電気事業法が11日成立し、2016年にも家庭が電力会社を選択できる時代が到来する。大手電力の「地域独占」を完全になくす歴史的な制度変更。政府は、電力事業への新規参入者を増やすことで、サービスや価格の競争活発化を狙う。ガスや通信、保険などさまざまな家庭向けサービスの「丸ごと販売」も始まりそうだ。

 人件費や設備投資などの費用に一定の利益を上乗せして電気料金を計算する「総括原価方式」は戦前に導入された。政府は戦後、全国の10電力が発電から送配電、小売りまでを一手に担う「地域独占」の仕組みをつくった。全国で電気が慢性的に不足する中、強力な電力会社をつくって安定供給網を整えることが最優先だったからだ。

 しかし、価格競争のない地域独占体制と総括原価方式が長く続いた結果、欧米に比べて電気料金が高止まりしたため、2000年からは企業向けの電力小売りが段階的に自由化されてきた。

 ただ、新規参入者(新電力)の自由化市場でのシェアは13年度で4.2%にとどまる。大手電力の「越境販売」についても、広島市内のスーパーが05年に中国電力から九州電力に調達先を切り替えた1例だけだ。

 ところが、東日本大震災と福島第1原子力発電所事故で、電力各社の力は弱体化。

 さらに、原発停止に伴う全国的な電力不足と電気料金の上昇が深刻化してきた。東京電力の6月分の家庭向け電気料金(標準家庭)は8567円と全国最高値で、震災前の水準から4割近くも高くなっている。

 一方、東電の電気料金が高止まりすれば、他電力や新規参入者は人口が集中する首都圏市場に参入しやすくなる。

 携帯電話、都市ガス、家電、電気自動車…。家庭向け電力市場が開放されれば、こうした商品とのセット割引など新メニューも続々登場しそうだ。経済産業省に新電力として届け出た企業は9日現在、244社と急増している。

 だが、SMBC日興証券の塩田英俊シニアアナリストは「原発が再稼働しなければ電力需給の逼迫(ひっぱく)は解消せず、火力発電のコストは燃料価格にも左右されるので、自由化して電気料金が下がるかは不明」と分析する。英国では自由化後、電力会社の寡占化が進んで電気料金が上昇した。

 経産省は当面、大手電力に対し料金規制を残す考えだが、大手電力各社は「できるだけ早く公平にしてほしい」と求めている。電気料金を下げるためには、政府が「健全な競争環境」を整えられるかがカギとなりそうだ。

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