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「固定価格買い取り制度」見直し検討 国民負担緩和、再生エネ拡大両立へ

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「固定価格買い取り制度」見直し検討 国民負担緩和、再生エネ拡大両立へ

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固定価格買い取り制度の見直しなどを議論する経産省の新エネルギー小委員会が17日、初会合を開いた=東京都千代田区の経産省  太陽光や風力、地熱など再生可能エネルギーで発電した電気の買い取りを電力会社に義務付けた「固定価格買い取り制度」の見直しに向けた検討が動き出した。経済産業省は、再生エネの普及策のあり方を議論する有識者委員会を6月中旬に立ち上げ、買い取り制度の今後の方向性などについて年内にもまとめる見通し。同制度が電気料金上昇につながるとの懸念が高まっており、国民負担の緩和と再生エネの導入拡大をどう両立させるかが焦点となる。

 電気料金が高騰

 経産省は、総合資源エネルギー調査会新エネルギー小委員会(委員長は山地憲治地球環境産業技術研究機構理事・研究所長)の初会合を6月17日に開いた。安倍晋三政権は4月11日にエネルギー基本計画を閣議決定したが、この有識者委では基本計画で掲げられた方針をどのように具体化するかを話し合う。

 基本計画では、再生エネについて「2013年から3年程度、導入を最大限加速していき、その後も積極的に推進していく」との方針を示した。これを受け導入加速に向けて発電所と電力消費地を結ぶ送電網の増強策や、太陽光や風力など電源ごとの技術課題などを協議する見通し。

 固定価格買い取り制度については「再生エネの最大の利用促進と国民負担の抑制を、最適な形で成立させるような施策の組み合わせを構築」との方針が基本計画に盛り込まれている。これには、買い取り制度に伴う“負担”の拡大が背景にある。同制度では、電力会社が再生エネで発電した電力を買い取る費用は、家庭や企業の電気料金に上乗せされている。12年度には標準的な家庭で月87円だったが、14年度には225円に上昇。上乗せ額の総額は、12年度の1971億円から14年度は6520億円に増える見込みだ。

 東京電力福島第1原子力発電所事故後、原発の稼働停止長期化に伴って電気料金が上昇している中で、産業界を中心に同制度の見直しを求める声が高まっている。経団連、日本商工会議所、経済同友会の経済3団体が5月下旬にまとめた緊急提言では、買い取り制度について「現行制度を放置すれば、今後も急速に国民負担が増大し、かつ長期に固定化することとなる」と指摘し、抜本的な見直しを要請している。

 有識者委の初会合でも産業界出身の委員が「原発停止の影響でただでさえ高額になっている産業用電気料金が、買い取り制度でさらに上昇している。そういった状況下で日本の製造業が海外勢に勝てるか疑問だ」との意見を表明。一方で、オブザーバーとして参加した再生エネの関係団体は「すでに多額の設備投資が進められている」と指摘し、制度改定に慎重な姿勢を示した。

 今後、有識者委では再生エネ導入で先行する海外の事例を参考に、買い取り量に上限を設けるといった負担軽減策の導入を検討する見通し。ただ、見直しで再生エネの導入拡大にブレーキが掛かる可能性もあることから、対応策が必要か慎重に見極める方針だ。

 部門ごとに指標設置

 固定価格買い取り制度は、再生エネの導入促進を目的に2012年7月にスタート。経産省によると、制度開始から今年3月までに新たに稼働した太陽光などの発電設備容量(発電能力)は895万4000キロワットに達した。とりわけ太陽光は施設の設置が容易なことに加え、買い取り価格が割高で十分な利益を確保できるとして一気に導入が伸びている。

 一方、経産省は基本計画の具体化に向け、原子力と省エネルギーの課題を検討する有識者委も6月にそれぞれ立ち上げた。このうち総合資源エネルギー調査会省エネルギー小委員会は6月24日に初会合を開き、省エネ促進に向けた施策の検討を始めた。

 今後、家庭や企業などの部門ごとに目標となる指標を設けることを軸に検討を進める見通しだ。工場や店舗を含めたさまざまな場所でエネルギー使用の実態を調査し、具体的な指標の作成を目指している。各部門に適した指標を細かく設定し、省エネの効果を高めることを狙っている。(三塚聖平)

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