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自動車など反転攻勢、試される企業の底力 GDPマイナス転落
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国内総生産(GDP)のマイナス転落は、成長戦略の主役と位置づけられている民間企業の経営に急ブレーキがかかったことを意味する。政府が当初から描いていた夏からの反転攻勢のシナリオを実現できるかどうか、各企業の底力が試される。
「政策の下支えがある中で、堅調な企業業績、雇用情勢の着実な改善などを受け、プラス成長に復帰し、回復基調を続ける」。経団連の榊原定征会長は強気のコメントを発表し、経済界として積極経営や前向きの投資を通じて、経済の好循環に対する貢献を目指すと宣言した。
駆け込み需要の反動で国内販売が苦戦する自動車は4~6月期の国内新車販売が前年比1.9%減の約118万台にとどまった。しかし、影響は想定内とされており、ホンダの岩村哲夫副社長は「夏休みすぎには前年並みにまで持ってこられるのではないか」と自信を見せる。
大手各社はすでに反撃態勢の構築に着手しており、富士重工業の高橋充専務執行役員は「(駆け込み需要の反動の)影響が色濃く出ている。販売刺激策を考える」方針。マツダの藤本哲也執行役員は「下期はてこ入れを行い、確実な販売回復を狙う」と意気込む。
家電製品にはすでに反転の兆しが出てきた。ビックカメラによると、4月の売上高は、冷蔵庫や洗濯機、エアコンなどの高額白物家電が落ち込み、前年同期比9.8%減となったが、「5月以降は想定を上回る速度で前年水準に回復した」(広報・IR部)。
6月以降は、高画質の4Kテレビや調理家電、ロボット掃除機、デジタル一眼カメラなど、高単価品が売り上げを伸ばしたことで、7月の売り上げは1.7%増と力強さを見せた。
一方で、駆け込み需要が大きかった住宅関連では、戸建て注文住宅やマンションで反動減が続く。戸建て注文住宅の場合、昨年9月末までの契約ならば、引き渡しが今年4月以降でも、特例によって5%の消費税率の適用が受けられた。「9月まではマイナスが続く可能性が高い」(ミサワホーム)など厳しい見方が根強い。
また、不動産経済研究所によると、首都圏(1都3県)のマンション発売戸数は7月まで6カ月連続で前年同月割れが続いている。足元では人手不足などに伴う建設費上昇で、不動産会社が顧客の反応を探るために新規発売に慎重な姿勢をみせているという。
景気回復を先導してきた高額商品についても、消費の回復ぶりは勢いを欠く。百貨店や大手商社によると、人気の高い高級ブランドや化粧品の売り上げが足元では回復傾向にあるというが、「サラリーマンがちょっと頑張って手が届く価格水準の商品が動いていない」(高島屋)。
さらに、地方経済は改善の兆候が少ない。「地域の中小企業は、仕入れや電力料金、人件費などのコスト増に加え、人手不足の影響が広がっている」(日本商工会議所の三村明夫会頭)うえ、「地方では消費税率引き上げで、日用品の低価格志向が一層強まる」(イオンの岡田元也社長)など家計も厳しい。地方再生に向けた取り組みは急務だ。
野村証券の木下智夫チーフエコノミスト「個人消費がマイナス5.0%の大幅落ち込みとなったのは、消費税増税と物価上昇の影響で実質所得が目減りしたためだ。だが団塊世代の退職ラッシュがあと1~2年続くうえ、現役世代も今後の賃金アップへの期待感から高付加価値品への関心は高く、7~9月期以降は増税の影響が和らぎ、個人消費の底堅さは続く。弱めだった輸出も高い成長が続く北米向けを中心に年後半は回復。内需と輸出の改善に伴い工場稼働率が上向くうえ、人手不足を補う店舗のIT(情報技術)化・省力化需要も高まり、大企業、中小企業とも設備投資が増加。公共事業の下支え効果も加わり7~9月期の実質GDPは前期比年率4%程度のプラスと大幅に回復するだろう」
農林中金総合研究所の南武志主席研究員「政府は、駆け込み需要は想定以上で反動減は想定内と言っていたが、山が高かっただけ谷も深くなってしまった。公共事業は人手不足、資材高騰で進捗(しんちょく)が遅れており、景気下支えがあまり期待できない。5.5兆円の経済対策のうち、約3兆円が公共投資だったことを考えたら、やはりタイミングが悪かった。4~6月期の雇用者報酬をみると、消費税増税と物価上昇でかなり目減りしている。それが年度下期以降の消費にボディーブローのように効いてくるだろう。7~9月期は反動減のリバウンドが期待できるとしても、足踏み感が出てしまうのではないか。リバウンドで高いだけでは年末に消費税再増税の是非を判断できない面がある」