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安倍首相、女性2閣僚辞任で早期幕引き 冷徹判断の裏にあったのは?
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女性閣僚2人の辞任について記者の質問に答える安倍首相=20日午後、首相官邸 安倍晋三首相は20日、政権基盤の安定化を優先させるため、小渕優子前経済産業相と松島みどり前法相の「ダブル辞任」という形で早期の事態収拾に踏み切った。同じ日に閣僚2人を失うのは異例の事態だが、首相は両氏を慰留さえしなかった。そこには長期政権を見据えた首相の冷厳な一面がちらつく。
「2人を任命したのは私であり、任命責任は首相である私にある。国民に深くおわびを申し上げる」
首相は小渕、松島両氏の辞表受理後、官邸で記者団に、自らの責任をあっさり認めて頭を下げた。9月の内閣改造からわずか1カ月半だが、野党の追及にさらされ閣僚が相次いで辞任に追い込まれるより、むしろ一気に決着させた方が政権運営に与える影響を最小限に食い止められると判断したからだ。
首相の判断は、第1次政権で味わった苦い教訓の上に立っている。当時は、高い内閣支持率でスタートしながら、事務所費問題を受けて佐田玄一郎行政改革担当相(当時)が辞任したのを皮切りに、松岡利勝農林水産相(同)が自殺するなど次々と閣僚が交代し、支持率は急落。平成19年の参院選で大敗し、短命内閣に終わった。
閣僚の辞任による政権への悪影響を懸念したばかりか、自身が任命した閣僚を切れない“温情”も強く働き、対応が後手後手に回った結果だった。
首相が「ダブル辞任」を決断したのは今後重要な政治案件が続くこともある。今月30日には米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題が争点となる沖縄県知事選(11月16日投開票)が告示、年末には消費税率10%への引き上げ判断を控える。年が明ければ、九州電力川内原発の再稼働、平成27年度予算案の国会審議、春には統一地方選、集団的自衛権の行使容認に向けた安全保障法制の審議が始まる。
野党と真っ向からぶつかり合う局面が連なり、政権の安定化は欠かせない。そして、長期安定政権の先には、敬愛してやまない祖父の岸信介元首相が成し遂げられなかった憲法改正がある。
小渕、松島両氏のスキャンダルは第2次政権発足から初めて首相を揺さぶる危機だった。首相はかつて「お友達人事」と揶揄(やゆ)された温情にとらわれず、女性登用方針を象徴する2人をばっさりと切りすてた。
(峯匡孝)