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アベノミクス、有効性が最大の争点 「第1の矢」物価目標2%届かず

ニュースカテゴリ:政策・市況の国内

アベノミクス、有効性が最大の争点 「第1の矢」物価目標2%届かず

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衆院が解散され、万歳する議員=21日午後1時14分、衆院本会議場  経済政策では、最大の課題であるデフレ脱却に向けて、安倍政権の「アベノミクス」が有効な手法かどうかが最大の争点となる。第1の矢の大規模な金融緩和策は、円安・株高のきっかけとなり、景気回復に貢献した。ただ、日銀が掲げる「2年で2%」の物価上昇率目標にはずれが生じており、日銀と政府が進めるシナリオの是非が問われそうだ。

 「量的・質的金融緩和は、景気や物価に対して所期の効果を発揮している」

 今月19日、日銀の金融政策決定会合後の記者会見。報道陣から「金融緩和は景気を押し上げる力はなかったのでは」と指摘され、黒田東彦(はるひこ)総裁は気色ばんだ。

 日銀は昨年4月、国債を買って市場に大量のお金を流す大規模な金融緩和策を導入した。この結果、円安・株高が加速して輸出企業の業績が急回復するなどして、緩和前の昨年3月にマイナス0.5%だった消費者物価の上昇率もプラスに転じた。

 しかし、今年4月に消費税率が8%に引き上げられると、買い控えなどで消費が伸び悩み、物価上昇に歯止めがかかった。増税の影響を除いた9月の物価上昇率は1%ちょうど。黒田総裁は、7月の記者会見で「1%を割る可能性はない」と言い切ったが、今月19日には「1%を割ることもあり得る」と修正を余儀なくされた。

 日銀が10月31日の金融政策決定会合で追加の金融緩和を打ち出したのは、企業や家計の心理を再び上向かせ、物価の下振れリスクを未然に防ぐのが狙いだ。景気の下ぶれ懸念が払拭されれば、消費税率の再引き上げに向けた環境は整う。黒田総裁は会見で「持続可能な財政構造の確立を期待している」と4回も繰り返し、「財政再建に向けた再増税へのムードが一気に高まった」(市場関係者)との見方が広がった。大和総研の熊谷亮丸・チーフエコノミストは「アベノミクス三本の矢のうち第1の矢(金融政策)は120点のでき。黒田総裁は安倍首相の期待にしっかり応えた」と高く評価する。

 ところが、安倍首相は再増税について1年半の先送りを表明し、解散・総選挙に踏み切った。黒田総裁の“アシスト”に安倍首相が応えなかったことは、両者の間に不協和音が生じたようにもみえる。ある日銀幹部は「新政権のお手並み拝見だ」と述べ、財政再建の行方に注目している。

 ■数字で見るアベノミクスの2年(2012年/14年)

 日経平均株価 8664円(11月14日)/1万7357円(11月19日)

 円ドル相場 79.91円(11月14日)/117.58円(11月19日)

 税収(年度) 43.9兆円/50.0兆円(見込み)

 有効求人倍率(9月) 0.81倍/1.09倍

 完全失業率(9月) 4.2%/3.6%

 賃金(9月の現金給与総額) 26万5178円/26万6595円

 7~9月期のGDP成長率速報値(実質・年率) -3.5%/-1.6%

 貿易収支(4~9月の赤字) 3兆2355億円/5兆4271億円

 長期債務残高(年度末) 932兆円/1010兆円(見込み)

 倒産件数(1~6月期、負債総額1000万円以上) 6311件/5073件

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