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原発停止の中…電力各社対応苦慮 環境省、石炭火力新設に慎重姿勢

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原発停止の中…電力各社対応苦慮 環境省、石炭火力新設に慎重姿勢

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 環境省が山口県で計画されている大型石炭火力発電所の建設に慎重な姿勢を示したことで、電力各社は対応に苦慮しそうだ。業界からは、原発の再稼働が進まない中、割安な石炭火力の増設計画を見直したくない本音も見え隠れする。

 「新電力(新規参入業者)も含めた、業界全体としての削減目標をできるだけ早く示す」。電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は12日の会見で、こう述べた。

 環境省は、約2年前に業界全体の枠組みを作るよう求めていた。今月、政府が温室効果ガスの削減目標を決めたことで、電事連として「(枠組み作りの)作業をできる環境になった」(八木会長)。

 足元で石炭火力の増設計画が相次いでいるのは、原発再稼働が見通せない中、石炭火力の発電コストが他の火力に比べて低いからだ。16年4月からの電力小売りの完全自由化を控え、電源確保のための「駆け込み的」(市場関係者)な建設計画も相次いでいる。

 ただ、計画中の石炭火力の設備容量は、少なくとも1300万キロワットに上る。国内の既存の設備容量計約4000万キロワットと合わせると「30年時点で、総発電量に占める石炭火力の割合を26%にする」という政府の目標値を超えてしまう。環境省はこうした事実に危機意識を持っている。電力各社は今後、石炭火力の進め方を大幅に見直さなければならない可能性もある。

 原発停止が長引く中、電力10社の経営は綱渡りが続いている。15年3月期連結決算は関電など3社を除く7社が経常黒字だったが、火力発電所の修繕先送りによるコスト削減などの効果が大きく、「継続的に黒字にできる状況ではない」(東電の広瀬直己社長)。

 このため、低コストの石炭火力の増設は「電源の多様化を進める上で重要」(八木会長)でもある。今後は、温室効果ガスの排出を抑えられる最新鋭設備の開発を加速することも不可欠となりそうだ。(山口暢彦)

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