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海外情勢
【高論卓説】ギリシャいよいよ窮地 「ドラクマ復活でユーロ離脱」現実味
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ギリシャと欧州の協議は、双方平行線であり全くと言ってよいほど進んでいません。今月5日の国際通貨基金(IMF)への返済は、月末の一括払いに変更申請を行うことで乗り切りましたがトロイカ〈欧州連合(EU)、欧州中央銀行(ECB)、IMFの連合体〉の支援協議がまとまらない限り、その支払いは不可能です。
そして、たとえ今月を乗り切ったところでECBが保有する7月20日の35億ユーロ(約4870億円)、8月20日の32億ユーロの国債償還ができるわけもなく、デフォルト(債務不履行)するしかない状況です。
では、合意期限はいつかということになりますが、返済が6月末であり、合意には欧州各国の議会承認などを必要とするため、今月中旬の合意が必要とされています。
しかし、11日のギリシャ債務協議では、交渉のテーブルについていた当局者が合意の可能性なしとして全員帰国してしまったことが報じられました。
14日の協議もわずか45分で終了。18日のユーロ圏財務相会合に持ち越されましたが、ドイツからはギリシャのデフォルトを前提とした対策案が出始め、ギリシャのユーロ離脱とデフォルトが現実味を帯びて語り始められています。
実は、EUやユーロシステムには離脱するための仕組みがありません。参加をすることはできるのですが、離脱をする(させる)事はできない仕組みになっています。
これは参加国の容易な離脱を防ぐための方策でもありましたが、ここに来てその欠陥が大きな問題になり始めました。離脱の仕組みがないため、強制的にEUやユーロシステムから追い出すことができないのです。このためギリシャに自発的に出ていってほしいというのがドイツなどの本音でしょう。
では、実際にギリシャをユーロやEUからどのように切り離すか。現在出ている案は、ドラクマ(政府紙幣)の発行による通貨変更と、銀行を通じたユーロ回収です。
まず、EUやユーロシステムがギリシャ政府によるドラクマの発行を認め、一定期間の兌換(だかん)(両替)の保証を行います。
その上で、ギリシャ政府は年金や給料など国内向けの支払いにドラクマを使い、国内でのユーロ使用を禁じます。銀行はユーロを受け取りますが、支払いと払い出しはすべてドラクマで行うことになります。
その結果、銀行には市中に出回っているユーロが集まります。それを中央銀行がすべて集めることでギリシャ政府などの海外向けの債務償還に利用するのです。
そうすればギリシャはユーロ建て債務を払うことができ、同時にユーロや欧州連合からの離脱も可能になります。
ここで問題になるのが、海外にあるギリシャ国民の預貯金や逃避資産です。この点に関しては、ユーロ圏の国が協力し、ギリシャ国籍保有者の海外預金凍結とギリシャ国内への送金という作業を行うことで解決できると思われます。すでに、ギリシャと欧州諸国は租税回避を行っているギリシャ人への課税に協力するとしており、この仕組みの応用で可能でしょう。
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【プロフィル】渡辺哲也
わたなべ・てつや 経済評論家 日大法卒業。貿易会社に勤務した後、独立。複数の企業運営などに携わる。著書は「突き破る日本経済」など多数。45歳。愛知県出身