本の選定に関しては世界各地にいる10人でチームをつくっており、チームから本の推薦を受ける。そしてソロメオ側の4人のメンバーが購入の判断をしていく。これが今のところの体制だ。
クチネッリ氏自身が「私が選ぶ」と話す通り、当然、彼の意向が最初の段階ではそうとうに入る。それともう1人、クチネッリ氏と一緒に街の再生や風景のプロジェクトを一緒にやってきた友人の建築家、マッシモ・デ・ヴィーコ氏の意見が反映される。
2人は何かを思いつけば、朝、5時や6時でも電話で対話する関係なのだ。
対象となるのは世界各地で評価のある本であり(つまりは古典が多くなるだろう)、その解説書は含まない。ヒューマニティに貢献するとされた書籍である。ラテン語なども含むさまざまな言語に渡るが、イタリア語と英語が多くはなるだろう。仮に選定メンバーの強い推薦があれば、英語やイタリア語では未訳の本を訳して刊行するのも視野に入れているらしい。
知の宝庫をつくる意欲に熱さがみなぎる。現在もさまざまなメディアがあり、今後も増えるだろうが、紙の本が新しい時代の思想を切り開く原動力であるとの信念がある。
彼が拘るのは「ユニバーサリティ」である。秀でた考え方をもつ人が書いた内容は、人間らしい社会をつくるにユニバーサルに貢献するはずだ。さらに言うならば、著作そのものの出来よりも、著者の資質がその目的に寄与するだろうとも考えているようだ。
だからこそ本を手にした人が、遠い過去の著者とも直接語り合えるところに焦点をおく。
まさしくクチネッリ氏は、このプレス発表の壇上に1人の男の像を持ち込んだ。ローマ帝国時代のハドリアヌス帝である。クチネッリ氏は「彼」と呼ぶ。
前述の風景プロジェクトにおいてはハドリアヌス帝の「私は美しさに責任を感じる」との言葉をクチネッリ氏は引用した。今回はどうなのだろう。