STARTUP STORY

多重下請けにあえぐ町工場を救う「調達の革命児」 アジアNo.1への拡大戦略 (3/3ページ)

TOMORUBA
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――全員が納得して腹落ちしているからこそ、高速でPDCAを回しても強固な組織体制が維持できているのでしょうね。

加藤氏: 当然、誰しも“現状維持バイアス”は持っています。ですが弊社の場合、「変わっていくべきだよね」というカルチャーができているので、変わることがむしろプラスになっているし、どう変わるべきかを社員一人ひとりが考えてくれるようになってきましたね。

3年後のアジアNo.1に向けた拡大戦略とは

――事業が価値提供につながっていると実感できた印象的なシーンをお聞きしたいです。

加藤氏: お客様側の目線だと、数百万、数千万単位の発注を丸ごと任せていただけるようになったり、場合によっては「見積もりなしでお願いします」という案件が出てきたり。そうなるとよりバリューが発揮しやすい状態になり、極端な例だとコストが6割下がるなんてこともあります。弊社の姿勢やアルゴリズムを信頼してくださっているお客様が増えているのは、とてもありがたいですね。

サプライパートナーさん側でいうと、弊社が入ったことで業績が安定し、従業員が増えたり、設備投資に予算を回せるようになったり、というのは非常に嬉しいニュースです。彼らにとって原価は売上そのものなので、より大きな価値提供につなげることができ、「キャディさんがいなかったら、今頃つぶれていたよ」というお言葉をいただけたこともありました。

――それでは最後に、中長期的な目標や今後の展開について聞かせてください。

加藤氏: 3年後までの中期拡大戦略として、「サービスレベル向上」「受発注全面自動化」「製品カテゴリー補充」の3つを掲げています。まず、これまでのQDC(クオリティ、コスト、デリバリー)にサービスとトラスト(信頼)を加えたQDCSTを指標としてサービスレベルを一段と向上させます。

また、現状の受発注のマーケットプレイス型のモデルに生産管理システムを導入し、受発注を全面自動化したいと考えています。弊社の場合、生産管理システムで必ずしもマネタイズする必要はないため、零細企業でも無理なく導入することができ、機械の稼働状況を詳細に把握することでピンポイントの発注がかけられ、超短納期も実現できます。さらに、3Dprintingやプレス板金、射出成形等、製品カテゴリーを充実させることにも注力します。

その先を見据えた展開ですと、物流の内製化や海外調達・販売、ファイナンス等、受発注にまつわるあらゆるサービス網の構築を視野に入れています。このまま順調に拡大すれば、全国の町工場の情報を日本一持っている会社になるはずで、そうすると各工場の実績や利益予想が立てられるので、ファクタリングや融資の面でも価値提供ができると思っています。

売上規模としては、2年後には300億円まで拡大させてアジアNo.1を目指します。製造業界の理不尽をなくし、モノづくり産業のポテンシャルを解放したい。この思いを原動力に、まずはこれからの3年間を駆け抜けていきます。

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【STARTUP STORY】は、スタートアップの起業家たちの“リアル”に迫るシリーズ企画です。彼らが抱える課題感や事業の成長戦略から、ビジネスのヒントを提供します。

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