「イオンを創った女」は「3年後」を基準に人事を取り仕切っていた (2/5ページ)

(撮影=プレジデント社書籍編集部)
(撮影=プレジデント社書籍編集部)【拡大】

 どうしても組織にはめ込むことができない人物が存在する場合には別途検討をしていく。埋まらない職位は採用部へ中間採用またはスカウトの指示をし、欠落する職位については、能力開発部へ育成の指示をすることになる。

 組織人事は「薬と薬の調合」に似ている

 これが毎年2回の人事異動の業務である。

 なかにはいわゆる「玉突き人事」で、いい加減に「エイヤ!」と人物名を入れたりする。すると、小嶋はすぐに「これはなんや!」と言って見つけてしまう。まったく油断も隙もない。

 「どのような効果をねらって、どのような組み合わせにするかは、薬と薬の調合に似ている。毒も調合の仕方によっては薬剤としての効果を生むといったことが多い」

 組織は人間と仕事の組み合わせである。会社を大きく見せるための「枠」として兼任社員を増やすのでは全く意味がない。また、流行り廃りの職位やトップの思い付きや好き嫌いであってもならない。

 「構成員が120%能力を発揮させる」、「長所を生かす」という原則をしっかりとしたうえで、組織の運用に適切な人材を配し、全力を傾注する。そうでなければ、組織はまったく意味をなさないとさえ言える。

 「空白地帯」を前提にしないと管理不能になる

 組織が有効に機能するうえでの注意事項はいろいろあるが、そのひとつに組織には管理限界(スパン・オブ・コントロール)があるということがいえる。それを前提に考慮しておかないと、そこが落とし穴になることがある。

 かつて、MTP(管理者訓練計画)では、「管理限界」という用語があり、監理者が部下を管理する人数は6人から9人が限界だと言われた。が、今日の環境下では、単なる部下の人数ではなく、もっと広く捉える必要がある。

「人事は掃除屋でもある」