
(撮影=プレジデント社書籍編集部)【拡大】
これは従業員を動かすための「ハード」である。そして、この「ハード」を知ることで、個人の行動を規制誘導すること、即ち「ソフト」を動かすことができるのである。
従業員の意識を変えるなら「ルール」を変えればよい
「企業の社会的意義とか倫理といった抽象的なものでも、これをきちんと行動レベルで実現していくには、それに関わる制度を確立しなくてはならない。制度として具体的な方法を明示し、手続きとルールが明文化されて初めて行動に結びつくのである」
組織運営上には、数々の制度やルールが存在し、会社の風土を醸成している。業界には業界としての暗黙のルールもあり、会社にはその会社の独自のルールが存在する。この制度やルールが、従業員の意識や行動をつくっていくのであるが、それが明文化されていなければ、行動には結びつかない。
一方で、従業員の意識や行動を変えたいなら、制度やルールを変え、明文化し、それを教え、遵守させればよいということだ。
制度やルールは保守的順守的性格を有しながら、時に応じて変えていく必要がある。でないと時代遅れになり、ルールは守りましたが、会社はダメになりましたということになる。
この保守と革新の要素を合わせもつ巧妙な設計が必要なのである。変化を予見して先手を打っていく。組織が有効に機能するためには、後追いの法律とは全く異なった手法の厳しさが必要なのである。
優秀な上司が陥る“マネジメントの罠”
かつてこんなことがあった。
合併した後に人事交流で旧オカダヤ地域に来た、他の会社出身の人事部長がいた。優れた人物だったが、反発が起こり、人事業務の滞ることがしばしばあった
その人事部長は悩んだ末に、「私のどこがいけないんでしょう?」と、部下である私にその原因を尋ねてきた。
私はこのように答えた。