【負けるもんか】失点後も勝負は続く 元プロ野球選手から公認会計士へ、奥村武博さん (3/3ページ)

公認会計士となり、引退したスポーツ選手のキャリア形成も支援している=東京都千代田区(酒巻俊介撮影)
公認会計士となり、引退したスポーツ選手のキャリア形成も支援している=東京都千代田区(酒巻俊介撮影)【拡大】

  • プロ野球阪神に投手として在籍していた頃の奥村武博さん=平成13年2月、兵庫県西宮市の鳴尾浜球場

 折れかけた心を支えてくれたのも妻だった。「中途半端で逃げ出したら、この先も言い訳し続ける人生になる。あきらめたらあかん!」。25年、短答式と論文式に合格。34歳。一番に妻に報告した。

 「試験勉強だけしていたら受からなかったと思う」と奥村さん。最悪の場合を想定して、資格予備校で収入を確保しながら簿記1級にも挑戦した。こうした日々は「1点を失っても次のバッターでアウトを取る野球に似ている」と感じる。

 いま、アスリートデュアルキャリア推進機構(ADCPA)の代表理事として、引退後の進路に悩むスポーツ選手らの相談を受けながら、各地で「小さいころから視野を広げる大切さ」を説く。

 「誰でも可能性の種を持っていて、どれが花になるか分からない。少しずつ水をあげるように、いろいろなことに興味をもってほしい」

 次はこの手で、たくさんの花を咲かせたい。(滝口亜希)

【プロフィル】奥村武博

 おくむら・たけひろ 昭和54年7月17日生まれ、39歳。平成9年、プロ野球阪神に入団。13年に戦力外通告を受ける。29年に公認会計士に登録、ADCPAを設立した。