新刊書の内部をくりぬいて爆薬と起爆装置を入れ、表紙を開くと爆発する仕掛けだったとされ、当時を知るベテラン職員は「爆発とともに庁舎が揺れた。何が起きたか分からなかった」と証言する。
多彩なトップ
平成の都政は長期政権と短命政権が混在した。
昭和からの4期16年を務めた鈴木氏は、東大卒の中央官僚から副知事経由という行政の“王道”の知事。都のOB職員は「官僚機構を知り尽くした行政手腕はさすがだった」と振り返る。都庁移転などの大型事業を次々と進めたが、任期中にバブル経済が崩壊し、都財政は悪化した。
続く青島氏は、一転してタレント出身。臨海副都心地区で開催が予定されていた世界都市博覧会の中止を公約に掲げ、自民党が推薦した候補者に勝利した。公約通り博覧会は中止したが、ほかに目立った施策を打ち出せず、1期満了とともに都庁を去った。
4期13年と、平成時代の半分近くでトップを務めたのが石原氏だ。首都の財政に新たな会計制度を導入し、悪化していた財政の立て直しに奔走した。環境問題にも注力し、国より厳しい独自のディーゼル車規制も打ち出した。ディーゼル車による大気汚染を都民に知らせるため、ペットボトルに入れたすすを記者会見でまいたパフォーマンスは語りぐさとなっている。