フェイスブックなどのSNSでは、留学生に就職を斡旋する外国語の広告が溢れている。とりわけ目立つのが、急増中のベトナム人留学生をターゲットにした斡旋だ。
「通訳」と偽りビザ取得、実際は弁当工場で単純労働
〈1年の就労ビザで30万円、3年だと50万円〉
そんな具合に技人国ビザが売買されている。
いったい誰が偽装就職を手引きしているのか。留学生の就職事情に詳しい、日本語学校のベトナム人職員が解説してくれた。
「留学生などの在日ベトナム人です。でも、彼らだけでは入管に提出する書類は準備できません。後ろには日本の人材派遣業者や行政書士がいて、ベトナム人を使い、留学生の就職希望者を集めているんです」
典型的な手口はこうだ。就職希望の留学生が見つかると、まず人材派遣業者は自らの会社で採用する。その際は、外国人スタッフの「通訳」として採用すると偽り、行政書士を通じて技人国ビザを取得させる。そしてビザを得ると通訳業務には就かせず、取り引き先の弁当工場などに単純労働者として派遣するのだ。
業者と行政書士は、ビザ取得の手数料として留学生から受け取る数十万円の金を山分けする。さらに業者は、派遣先の企業が支払う留学生の賃金までもピンハネできてしまう。
こうした手口の横行には、すでに警察も目を光らせている。警視庁は19年2月、ネパール人留学生らに在留資格を虚偽申請させたとして、東京都内の人材派遣会社経営者らを入管法違反容疑で逮捕した。約100人ものビザを不正に変更し、実際には就労が認められない倉庫やレストランで単純労働させていたのだという。
新聞報道では不正に取得された在留資格の種類までは明らかになっていないが、留学生たちの「留学ビザ」が技人国ビザへと変更されたと見て間違いない。そして翌3月には、経営者と組んでいた行政書士も逮捕された。
「大卒」の学歴もネットで買える
私が取材してきた印象では、こうして摘発されるケースは氷山の一角に過ぎない。技人国ビザの発給基準は大幅に緩んでいる。書類に不備さえなければ、たいていは発給される。そして不正が発覚することも珍しい。
日本で大学や専門学校を卒業していない外国人が技人国ビザを得ようとすれば、母国の「大卒」という資格が必要となる。しかし、学歴にしろ金さえ払えば手に入る。技人国ビザなど滞在資格と同様、大学の卒業証書までもネットで売買されている。技人国ビザを持つ外国人は2018年6月時点で21万2403人と、2012年末から約10万人、17年6月からの1年間だけでも3万人以上も増えている。それは偽装就職の横行も影響してのことなのだ。
技人国ビザには1~5年程度の在留期限こそあるが、その更新は難しくない。日本に永住し、「移民」となる権利を得るも同然だ。技人国ビザ取得者の急増は、日本が「移民国家」への歩みを進めている証といえる。