働き方

「定時に帰る」で社長になった人の共通点 残業せず出世する人の仕事の仕方 (2/3ページ)

 (1)の「仕事が終わらない」は悩ましい。仕事が終わらない理由として「しなくてもよい仕事を押しつけている会社」と「本人の非効率な仕事のやり方」の2つが考えられる。

 前者については、本来1日の法定労働時間の8時間以内に収まる仕事(工数)を与えるのが基本だ。だが、社員の減少による人手不足や業務量の増大によって残業を余儀なくされている人も多いのではないか。こういう会社では、いくら個人でがんばって仕事をこなしても「定時退社」はそもそも無理な話だ。早く帰ろうものなら袋だたきに遭いかねないブラック企業度が極めて高い。

 一方、後者の「本人の非効率な仕事のやり方」については工夫の余地があり、定時退社も可能だ。

 (2)の「帰りにくい」のはいわゆる「つきあい残業」だ。

 以前は上司より先に帰ると「人事評価が悪くなる」と気にする人もいたが、今では逆に残業時間が長い人が疎まれる傾向にある。仕事でやることをやっていれば上司や同僚の顔色をうかがう必要もないし、本人に勇気があれば解決する問題だろう。

「就職してから40年以上、定時退社を信条」のCEO

 もしかすると定時退社を続けると、将来の昇進に悪影響があるのではないかと懸念する人がいるかもしれない。そんな心配は杞憂(きゆう)だ。残業しないで社長になった人はいくらでもいる。たとえば、井上亮オリックスグループCEOはこう言っている。

 「私は就職してから40年以上、定時退社を信条としている。顧客との夜の会合などを除けば過去3回しか残業はしていない」(日本経済新聞2017年4月4日付朝刊)

 また、伊藤忠商事の岡藤正広会長CEOも『プレジデント』(2015年8月3日号)で「その日の仕事はその日に仕上げて、翌日には持ち越さない……(残業するのは)年に2回の繁忙期に1週間ずつぐらい」と発言している。

定時退社で出世する人の仕事の仕方とは

 定時退社でも出世できる人は、どこが違ったのか。

 筆者はかつて2人の元社長に聞いた話を思い出した。その1人が、神戸製鋼所専務を経て、子会社の神鋼電機(現シンフォニアテクノロジー)社長・会長を務めた佐伯弘文さん。佐伯さんはこう話してくれた。

 「成果を上げる以外にないですよ。どんなことをしようがとにかく成果を上げた人が勝ちなんです。長時間働いても成果が上がらなければあかんのです。だから、私は成果を上げれば文句はないだろうと就業時間中は集中的に効率を上げて仕事をしました。そしてやることをやって定時になったらパッと切り上げて遊びに出かけました」

 とはいえ、当時は残業が当たり前の時代だ。上司に目を付けられ何か文句を言われなかったのか。

 「あまり言われなかったですね。あいつはあんなもんだろ、と思われていたかもしれませんね。私の性格はゴーイング・マイウェイ、いわゆる我を通す性格ですから、何も気になりませんでした」

 要するに上司や周囲がどんな目で見ようと、やることをやって成果を出せば問題はないということだ。

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