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最低賃金、非正規雇用、処遇格差… 参院選公示、あなたが一票入れるなら (2/4ページ)

常見陽平
常見陽平

 さらには、この「働き方」に関する政策の物足りなさが、国民に対して何かを隠したい、今はこれを論点にしたくないからというのなら、タチが悪い。2017年の衆議院議員総選挙においては、自民党は「働き方改革」と政策を総論で語っていた。もちろん、これは様々な取り組みによって成り立っているがゆえに、まとめて表記したい気持ちも分からなくはない。しかし、結果として野党が「残業代ゼロ法案」と批判することによって「高度プロフェッショナル制度」の存在が可視化された。

 もちろん選挙の公約は細かくなりすぎても有権者は理解しきれない。諸々の事情はあるだろう。ただ、「解雇の金銭的解決」「高度プロフェッショナル制度の対象拡大」など、賛否を呼ぶ政策こそ公約に掲げるべきではないか。前述した、日本的雇用のこれからに関する論点もそうだ。

 最低賃金の引き上げ

 各党が言及している論点の一つは「最低賃金の引き上げ」である。実情に配慮しつつ年率3%を目途として、名目GDP成長率に配慮しつつ引き上げ、全国加重平均で1000円を目指すことを掲げる自民党、2020年代前半に全国平均で1000円超に、20年代半ばに47都道府県の半数以上で1000円以上に引き上げるとしている公明党など、与党は現実的な根拠と指標をもとに控えめな数字を出している。

 これに対して野党は、中小零細企業の支援を拡充しつつ5年以内に1300円に引き上げるとする立憲民主党、「全国どこでも時給1000円以上」の早期実現を打ち出す国民民主党、全国一律で時給1000円とし1500円を目指すとする社民党、全国一律の最低賃金制度を創設しただちに1000円に引き上げた上で1500円を目指す他、賃上げ支援予算の増額や社会保険料の事業主負担を減免する共産党など、与党よりも高めの賃上げを目指す方針が打ち出された。

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