いまや日本は先進国の中では、決して労働者の収入が高い国とは言えない。賃上げは与野党ともにずっと叫んでいることである。現実路線の与党、強気な野党という色が鮮明になった。もちろん、各党が政策で言及している通り、これは労働者にとっては歓迎すべき施策ではあるが、特に中小零細企業を圧迫する施策でもあり、各党とも配慮が伺える。もっとも、野党の1,500円という金額にしても、社会運動などで叫ばれてきたことであり、切実な課題でありつつも、目新しさはない。現実的な路線とも言えるが、夢を感じられるような特色が欲しかった。
就職氷河期世代支援
選挙前に大きく話題になったのは、自民党の就職氷河期世代支援だ。今回の公約集でも打ち出されている。これは既定路線であるがゆえに、実効性が問われる。就職氷河期世代の呼び方を変更した「人生再設計第一世代」という言葉がネット炎上するなど、これは本当にこれらの世代に配慮した政策なのか疑問視する声もある。これらの世代をどう捉えるのか、打ち手に実効性があるのかも問われる。
立憲民主党は官民の非正規雇用をできるかぎり正規雇用化し、ワーキングプアを解消するとしている。正規と非正規の格差是正も課題だが、そもそも正規雇用は働きやすいのかという点が問われる。
2017年の衆院選に続き生産性革命、人づくり革命、AIなどの利活用を打ち出す自民党、1時間単位の有給取得を促す公明党、残業代完全支払い・みなし残業禁止や、LGBT(性的少数者)差別解消法の制定など多様性を打ち出す立憲民主党、雇用や賃上げに応じて法人税率に差をつけるとする国民民主党、公務員の給与カットや削減を打ち出す他、高齢者の活躍を応援する日本維新の会など、各党独自の政策や、強く打ち出している点はあるにはある。与党以外ではWi-Fi環境の強化を大きく打ち出すなど、国民生活にとって日常的に関係ある点をアピールする国民民主党の政策集は特にわかりやすいものだった。