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優秀な営業マンがだらだらと雑談を続けるワケ 肯定の返事を引き出そう (2/3ページ)

 つまり、あなたが相手と良好な関係を築くために、互いに打ち解けあっている状態を意識的につくり出すには、あなたのふるまいを相手に合わせればいいということになる。あなたの話し方やしぐさは、わざとらしくならない程度に相手に合わせるようにしよう。

 この二者間の相互の信頼関係はラポールと呼ばれている。ラポールは、精神科医のジークムント・フロイトが患者と良好な関係を築く際にも、重要な役割を果たしていた。

 では、交渉時に相手とのあいだに良好な関係やラポールを形成するには、具体的にどうすればいいのだろう?

 たとえばあなたが車の販売員なら、「車の予算はどのくらいをお考えですか?」ではなく、「以前はどんな車に乗っていらしたんですか?」という会話から話をはじめるといい。どんな人に対しても使うことができ、誰も嫌な気持ちにさせない話題から会話をはじめるのだ。天気、映画、旅行、食の好みやスポーツなど、分野はどんなものでもかまわない。

 雑談とは「双方が興味をもてる話題を見つける」こと

 壁に掛かっている絵について話しているうちに交渉相手に元医学生の芸術家の娘がいることがわかり、交渉相手は本当は娘に医学部を卒業してほしいと思っていたなど、話の糸口にすぎなかった話題が興味深い会話に発展することもある。相手の関心事やこれまでの人生についてなど、話をする前に相手に関する情報を仕入れておくのも、もちろん大いに役に立つ。

 私はときどき、私の家族やお気に入りの旅行先など、ごく個人的なことについても訊かれることがあるが、彼らがその問いに対する私の答えにたいして興味がないのは容易に見てとれる。単にトレーニングで学んだ交渉の手順をなぞっているだけなのだ。

 しかし世間話の意義は、よくある礼儀正しいやり取りを通して双方が本当に興味をもてる話題を効率よく見つけることにある。そして互いに興味のある話題が見つかれば、煩わしいお決まりの儀式もその場にいる全員にとって楽しめるものになるばかりか、交渉におけるあなたの態度にもプラスに作用する。不機嫌な状態で交渉をすると、相手に対してひどく批判的になりがちだからだ。

 「うん」「そうだね」と肯定の返事を引き出す

 交渉相手に友好的な態度をとっても、目標の追求に支障が出るわけではない。交渉相手が、交渉役としてのあなたと1人の人間としてのあなたは別人だという事実に気づき、心理学でいうところの「認知的不協和(人が矛盾するふたつの事実を自分のなかに抱えたときに感じる不快感)」を感じているときこそ、交渉を大きく前進させる絶好のチャンスだ。相手は自分のなかにある不快な感情を解消しようと、問題解決に協力的な態度を示して調和を取り戻そうとするからだ。

 交渉相手との会話を、常に差し障りのない話題からはじめたほうがいいのはそのためだ。会話のなかで相手があなたに同意を示す回数が多ければ多いほど、交渉の重要な点においても同意する可能性は高くなる。そしてその場にポジティブな雰囲気を生じさせれば、最初から相手とのあいだにラポールを形成し、交渉が成立しやすい下地をつくり上げることもできる。

 物件を案内中、家の立地のよさやベランダの眺めのよさなどについて相手からの賛同を得ている不動産業者は、その時点ですでに売買が成立する可能性を確実に高めているのだ。

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