社長を目指す方程式

「DXに乗り遅れた上司はヤバイ」と言われるけど…DXって何? (1/2ページ)

井上和幸
井上和幸

 《今回の社長を目指す法則・方程式:エリック・ストルターマン教授「DX(DigitalTransformation、デジタルトランスフォーメーション)」》

 いよいよ私たちは「ウィズコロナ」を常態として生活・経済活動を再開することとなりました。そして始まる、ニューノーマル(新常態)。その中心として語られるのが「DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。

 私は最近、「新型コロナは加速装置である」という話を各処でしているのですが、DXについてもコロナ以前から言われていたことで、それが今回の一件で【非接触】【分散化】【清潔・抗菌】【巣ごもり】というような環境要請によって更に取り組みが加速しているという部分があります。

 もはやDXに対応できない経営やマネジメントは時代に取り残される-。御社内でも「DXを急げ!」の号令が飛んでいるかもしれません。しかしそのような中で、社長以下、面々が会議に集って「あのさ…DXって、何…?」。“DX待ったなし”というけれども、そもそもDXって何でしょう?

 DXの定義

 「デジタルトランスフォーメーション(DX:DigitalTransformation)」は、2004年にスウェーデンのウメオ大学、エリック・ストルターマン教授によって提唱された概念です。その内容は、かいつまんで言えば「進化し続けるテクノロジーが人々の生活を豊かにしていく」というもの。日本におけるDXは、2018年に経済産業省が「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」を取りまとめたことを契機に広がり始めたそうです。

 ところで、皆さん、ふと思っていませんか? そもそもなぜ「デジタルトランスフォーメーション、DigitalTransformation」を「DX」って書くの? 「DT」じゃないの? と。私は実は結構ながらく、「あれ、Xってどの部分を取っているのだろう。単語内にXのスペルも発音を現す部分もないけど…」と思っているまま、調べもせずになんとなくDX、DXと言っていました(苦笑)。これは「Trans」を「X」と略すことが一般的な英語圏の表記に準じているそうです。

 DXが表していることとは?

 さて、経済産業省によるDXの定義は、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」。なにやら堅苦しい表現ではありますが、これに当たるデジタル化推進がDXということですね。

 つまり、データやデジタル技術の導入・活用(「デジタイゼーション(Digitization)」)をすることで自社および外部の環境やビジネス戦略面も含めて長期的な視野でプロセス全体をデジタル化していく(「デジタライゼーション(Digitalization)」)ことを通じて、

・従来なかった製品やサービス、ビジネスモデルを創出する

・業務プロセスやバリューチェーンプロセスを改編し、働き方変革、生産性の向上・コスト削減・時間短縮をもたらす

・上記を実現する土壌として、企業の在り方そのものを見直す

 といったように、DXはビジネス全体を根底から大きく変革することを指しているのです。

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