私たちにとってのDXとは?
コンセプトや何を指しているのかは分かりました。その上で、私たち上司にとって大事なのは、「自分ごととしてのDX」ですよね。実際に私たちのビジネスにおいて、どのあたりに関与するものなのか? 経済産業省資料には、IoT、AI、クラウド、5Gあたりが代表的なものとして挙げられています。確かに今や、どのような産業、業態、職務に携わっていても、これらのいずれかが全く関連しないというものは、基本的にはないでしょう。しかし、もう少し分かりやすく、ジャンル大別を試みてみたいと思います。私なりに3つにカテゴライズしてみました。
(1)私たちの仕事のやり方がデジタル化している
まさに今回の新型コロナで進んだリモートワーク、Zoomなどのオンライン会議などへの対応が最も身近でしょう。ニュースになっているところでは会計処理などの全面クラウド化、電子押印対応、またこれまで以上にビジネス上で社内SNSやチャットツールを活用するなど、です。ビフォーコロナからインサイドセールスやオンライン商談などを推進しようというSaaSベンチャーが多数起業されていましたが、それまでは抵抗感のある企業や上司も多く、「ネット系など一部のやっていることでしょ?」という捉えられ方だったものが、この数カ月で一気に当たり前の手法・ツールとなりました。
(2)事業がデジタル化していく
X-Techで語られるような事業モデルチェンジ、その中にAI活用なども含まれます。MaaS、D2C、ロボティクスなど、直接関連する特別な業界のデジタル革命だと思っていた上司の皆さんもいたかもしれませんが、今やどの業界にいても「○○-Tech」化の波が押し寄せており、リアルとデジタルの融合が一気に進んでいます。「うちは現場仕事だから」などと言っていると、あっという間に置き去りにされてしまいますね。
(3)生活、消費者マインドがモノからコトへ
全てがシェアリング化、サブスク化していく私たちの消費行動があります。これももともと、ビフォーコロナから様々な業界がサブスクリプションを導入しており、個人向けのサービスであれ、法人向けのソリューションであれ、「サブスク化」できるのものは全てサブスク化してしまう激流が起きています。
シェアリングエコノミーは、ライドシェアや民泊については新型コロナ禍でその「対人・密」になりがちなビジネスモデルは逆風となっていますが、時間やモノをシェアするビジネスは非接触・分散化・3密回避で伸びています。
他にもあるかもしれませんが、おおよそこの3つのいずれかにおいて、「我が社はいかにすべきか」「私は、私たちはいかに働くべきか」を考え行動に移していけば間違いないと思います。
大事なことは、構えすぎず「自然な意識」で、仕事をするに、生活するに、よりスムーズで快適なものに自分や自社をミートさせていくことではないでしょうか。その中にいつの間にかDXがある。そんなビジネス思考とワークスタイルを持つ上司が、これからの時代をうまく泳げるリーダーであることは間違いなさそうです。
【社長を目指す方程式】は井上和幸さんがトップへとキャリアアップしていくために必要な仕事術を伝授する連載コラムです。更新は原則隔週月曜日。アーカイブはこちら