社長を目指す方程式

呼吸法を知らなくても「全集中」する3つのアプローチ (2/3ページ)

井上和幸
井上和幸

 「自分への集中」はありのままの自分を認識すること

 さて、まず「自分への集中」から。

 自分を見つめる、つまり、自分自身の内なる声に耳を傾けることが出発点となります。これを実践すると、リーダーは多くの手がかりを元によりよい判断を下し、本当の自分を探り当てることができます。

 自己認識の軸は、その時々の自分の感覚的な心象に意識を向けることからなりますが、コールマン氏は、リーダーシップを発揮する集中には、もうひとつ欠かせない要素があると言います。それは、過去から現在までの経験を総合して、本当の自分について首尾一貫した捉え方をすることだと。

 ここで言う「本当の自分」とは、他人から見た自分が自己像と重なり合っている状態を意味しています。これを実現するには、他人、中でも自分に貴重な意見や正直なフィードバックをくれる人が自分をどう思っているかに注意を払うことが効果的です。

 自分への集中において有用なのは、開かれた意識。何かに気を取られたり翻弄されたりせずに、周囲の状況に幅広く注意を払う状態です。良し悪しを判断したり、切り捨てたり、無視したりすることを避け、ありのままに物事を認識すること。

 これは、とかくご自身の意見や主義主張を述べる立場にある上司の皆さんには、なかなか難しいことでもあります。私たち上司が意識を開かれた状態に保てないのは、大概、些事にいら立ってそれに邪魔されることが多いからです。

 これに抗うひとつの方法として「認知制御」があります。気が散りそうな誘惑に打ち勝ち、「これ」と決めた対象に注意を向け続けるという意味の専門用語です。

 認知制御力は、「誘惑の対象から自発的に注意をそらす能力」「誘惑の対象に関心を引き戻そうとする誘いに抗う能力」「将来の目標に意識を集中して、それを達成したらどれだけ気分がよいかを想像する能力」の3つからなるそうです。この3つの能力で、私たちがどうやって心を開きつつ、ありのままの自分を見つめることに集中できるか、なんとなくでもイメージいただけるのではないでしょうか。

 「他者への集中」には3種類の共感力を働かせる

 次に「他者への集中」、他者に関心を集中すること。

 「注意」(attention)という言葉は、「触れ合おうとする」を意味するラテン語の「attendere」に由来しているそうです。他者への関心とは、まさにこの「触れ合おうとする」ことにほかならず、共感する力や社会的な関係を築く力の土台をなします。

 優れた社長やリーダーは他者に関心を集中するのが上手いですね。彼らは相手と共通の土台を見つけ出す、非常に重みのある意見を述べる、他の人々に「一緒に仕事をしたい」と思わせるといった特質を持ちます。まさにこの連載のテーマである、「社長になる人の条件」と言えるでしょう。

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