ミラノの創作系男子たち

「時を細かく刻みながら…」心に響いたフランチェスカの言葉~女子編 (1/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 フランチェスカ・ピレッダを初めて知ったのは昨年のことだ。初夏の頃だっただろうか。難民や移民の社会統合を促すプロジェクトの発表の場だった。ミラノでデザインを学ぶ学生たち、アフリカなどの出身の必要に迫られてイタリア語を学ぶ若い人たち、これらの2つのグループが一緒になって活動し、それぞれが自分たちの幼少の頃の印象深い光景や場を模型で表現していた。デザインの学生たちはおよそ甘い暖かい過去を思い出していた。他方、移民の記憶には狂暴と恐怖が隣り合わせになった世界も少なくなかった。

 そのプロジェクトを推進したのがフランチェスカだった。彼女のあいさつの言葉が切れ味よく、誠実さ溢れた彼女の明るい振る舞いはぼくの心に残った。そこで本プロジェクトについて、SankeiBizの別のコラムに書いた。彼女にそのことを知らせて交信がはじまった。ミラノ工科大学のデザインの先生とは知っていたが、フランチェスカがあのようなプロジェクトに関与する個人的な動機は不明だった。

 その後、何度かメッセンジャー上のやりとりがあったが、直接会って話す機会はなかなか訪れない。偶然、リアルで会ったのは今年の初めである。ソーシャルイノベーションにデザインを持ち込んだ世界的第一人者のエツィオ・マンズィーニの講演会の聴衆のなかに彼女の姿をみかけて声をかけた。

 フランチェスカは博士課程の学生のときマンズィーニに教えを受け、彼に多大な影響を受けた学者でありデザイナーだったのだ。そして、ぼくはマンズィーニの本『日々の政治』を日本語に翻訳している最中だった。だから、彼女の関心領域がなんとなく想像できた。

 今回、インタビューをしてさまざまな断片が一挙に繋がった感がある。特に、彼女がコミュニケーションデザインの専門で、それもグラフィックではなく視聴覚のエキスパートであると知って納得する点が多かった。人々の日常生活での対話をどう促していくか。これがソーシャルイノベーションにとって肝のテーマだからだ。

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