ミラノの創作系男子たち

「時を細かく刻みながら…」心に響いたフランチェスカの言葉~女子編 (2/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 フランチェスカはミラノの生まれだが5歳の時、エンジニアの父親の転職でローマに移った。両親はイタリア中部アドリア海沿いにあるアブルッツォ州の出身であるため、ローマからもさほど遠くないアブルッツォの小さな村で休暇を過ごすことが多かった。

 どんな子どもだったのだろう。

「一人っ子だったこともあり、とにかく人と一緒にいるのが大好きだったわね。何度も引っ越したので、自分の周りのコンテクストを掴むことは得意だったと思うの。まず他人の声に耳を傾けるわけね」とフランチェスカは話す。

 耳を傾けるとは比喩でもある。例えば、風景や美しさに対しても、できるだけ虚心になって向き合う習慣がついたという。それでは、どうして大学ではデザインを勉強したいと思ったのか。

「高校は文科系で古典ギリシャ語やラテン語など人文学の基礎を勉強したので、言ってみれば、人文学の目で別の表現手段を学びたいと思ったの」

 アートや演劇という表現手段もあるが、リアルで具体的なプロジェクトのアクターになりたかったのだ。それがデザインを選んだ動機である。

 1996年にミラノ工科大学に入り、ストーリーテリングなどを戦略的にコミュニケーションに使う先生のもとで学んだ。それで映画や視聴覚メディアについて勉強した。およそ20年を経た今、この分野が注目されている。

「最近、ポッドキャストやラジオのような聴覚メディアが注目されているわ。ビデオ会議でも、話声だけを聞いているケースも多い。ということは口頭の重要性が見直されているってことね」

 彼女は言葉と言葉がつながり、意味をつくっていくことに関心がある。どちらかといえば、視覚的イメージから言葉を引き出すのではなく、言葉から視覚的イメージをつくることに魅力を感じるようだ。

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