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「オンライン」の有り難みを知った一年 来年は「リアルな実感」を (2/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 確か、2月末以降、レストランは4回しか行っていない。レストランの賑わいや旅情に誘われる気持ちが消えたわけではない。しかし、籠りの反動として出かけることはなかった。旅で滞在している地域で急に感染が広まり、その街が封鎖されるなど余計な面倒が生じることを恐れた(現実、それに近い事態がイタリアで起きた)。そんなリスクを勘案するくらいなら、自宅の近所を散歩していた方がいい。 

「オンラインでもできるじゃない!」という言葉をたくさん聞いた。

 ぼくもその有難味を実感した。実際、今夏から3つの読書会や勉強会を定期的に主宰している。こういう状況でなければ決して手を出さなかった分厚い本も読んでいる。

 この活動によって今まで目が届かなかった分野にも注意を傾けるようになった。まったく未知の分野というよりも、そういう分野があることは知っていても、ここまで自分のフィールドに貢献してくれるとは気がついていなかったのだ。

 視界に入りながらも、積極的に見ようとしないと風景はそれと認識できないのである。好奇心がすべてと言っても、好奇心があれば視界のすべてに注意がいくわけでもない。

 そういう意味で、2月後半以降の日々は内省と学びの1年であったことに嘘偽りがない。強がりではなく、率直にそう言える。

 しかしながら「じゃあ、2021年もずっとこれでいい?」と聞かれたら、嫌だと答えたい。

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