社長を目指す方程式

仕事で“ゾーンに入る”方法とは? 成果を上げる没頭力の高め方 (1/2ページ)

井上和幸
井上和幸

《今回の社長を目指す法則・方程式:ミハイ・チクセントミハイ「フロー」》

 首都圏ではまだまだ余談は許さないものの、緊急事態宣言は1都3県以外で解除され、ワクチン接種も始まったことで、新型コロナ禍という長いトンネルの出口が見えてきそうな気配も漂ってきました。(個人的には、感染拡大には最大限留意する前提で、日本のDX力を総結集して非接触・オンラインの新しい大会運営形式にチャレンジし、ウィズコロナ下での東京オリンピック・パラリンピックを開催・成功させて欲しいと願っています)

 来るべき「いつもの日常」「ニューノーマル」に備えて、上司の皆さんにとって自分事としても会社事としても勝負に打って出るべき時が近々やってくるでしょう。その日に備えて、思いきり仕事に没入する瞬間、「フロー」に入るコツを知っておきませんか。

 「フロー」を体験したこと、ありますか?

 皆さんはこれまでに、物事に没頭して気がついたら信じられないくらいの時間が経っていたことや、研ぎ澄まされた感覚であらゆるものごとが手に取るように分かり仕事を進めることができた、というような体験をしたことがありませんか? 野球でいうところの「ボールが止まって見える」という体験や、自動車を運転していて車体の隅々までが自分の手足のような感覚でコントロールできたというような経験…こうした体験を「フロー」と言います。

 フローとは心理学者のミハイ・チクセントミハイ博士が提唱したもので、「1つの活動に没頭するあまり、ほかのことが気にならなくなる状態、またはその経験がとても楽しく、大きな労力がかかってもそれをしてしまう状態」を指します。スポーツで「ゾーンに入る」と言われる状態も同じことを指しています。みなさんも過去に、仕事に没入して“ランナーズハイ”のような状態になった経験があるのではないかと思います。

 私自身はこれまでの人生の中で、大きくは4度ほど「あの時はフロー状態だったな」という経験があります。そういう状況の時は、チームが一丸となって、部門の各処でイノベーションが起き、業績がぐんぐん上がります。自分も同僚も、ノリにノッている状態。遅くまで働いた後にチームメンバーたちと飲みに行っても、ある面が研ぎ澄まされると同時に、どこか夢の中にいるような感覚になる…その時期を思い返すと、なんだかとても不思議な感じがします。

 そして、次に「その状態」になれるときをどこかで心待ちにしながら仕事をしているところもあるなと、今回、この原稿を書いていて改めて思いました。できることならずっとフロー状態にいたいものです(笑)。

 「フロー」に入るとは、こういう状態

 チクセントミハイ博士によれば、フローは次の8つの特徴を持っています。

1)完全に集中している。

2)目標だけに焦点を合わせている。

3)時間が速まっているか、あるいは遅くなっているように感じる。

4)その経験にやりがいを感じる。

5)苦労なくできる感覚がある。

6)難しいが、まったく歯が立たないほど難しすぎない。

7)その行為がほとんど自然に起きているように感じられる。

8)やっていることに満足を感じる。

 どうですか? みなさんの過去の体験と照らし合わせていただいて、この8つの状態を満たしていた瞬間や時期がありましたか?

 そもそもチクセントミハイ博士が抱いたテーマは、「人が自分の持てる創造性を最大限に発揮して人生の充実感を覚えるときというのは、どのような状態のときなのか?」ということでした。

 それを確認するべく、仕事を通じて大きな成果を生み出し、世界的な名声を獲得している経営者や研究者、アーチスト、アスリート、外科医などといった人たちにインタビューを重ねました。すると、分野の異なる高度専門家たちが最高潮にノッているときに、その状態を表現する言葉としてしばしば「フロー」という言葉を用いたそうです。

 フローに入ると生産性が劇的に高まります。一説には通常の5倍の生産性を得られるという報告もあるそうです。一人ひとりが5倍の生産性を得て、それがチーム全体であったならば、どれくらいすごい生産性をあげることでしょう。

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