社長を目指す方程式

ビジネスパーソン“必勝”の職場心理学 主導権を握る2つのコツ (2/3ページ)

井上和幸
井上和幸

 例えば、部下に任せたい仕事は、ただやってくれと言うのではなく、「これを担当できるチャンスは今だけだよ(キミが担当しないなら、別のCくんに担当してもらうことになる)」と言うこともできます。

 プロジェクトの任命や異動希望の受け入れ、あるいは新規採用であれば、絶対に先にオファーを出してはダメです。「あなたが(どうしても)このポジションでやってみたく、いま意思決定するなら、あなたにお願いする手続きを取ろう」などと言えます。もちろん、その仕事が当人にとって魅力あるものであることは大前提です。

 同じ条件が「追加」で値引きになっただけで?!

 もう一つの戦略、「追加提示」。人は「おまけ」や「追加値引き」にもまた、非常に弱いものです。

 サンタ・クララ大学の心理学者ジェリー・バーガー博士は、カップケーキを使った販売実験でこのことを実証しました。

 対象のケーキは意図的に値札をつけず、お客様から聞かれたら答えるようにし、2つの回答パターンを設定しました。その1は、値段を聞かれたら「75セントです」と答えます。その上でお客様が迷っていたら、「クッキーを2枚おまけにつけますよ」と追加回答します。その2は、値段を聞かれたら「クッキー2枚とセットで75セントです」と答えます。

 さて、どちらのほうがよく売れたでしょう? 結果は、訪れたお客のうちケーキを購入したお客様の比率は、その2が40%に対して、その1では73%だったそうです。

 さらにバーガーは、値引きバージョンも試しました。その1では、値段を聞かれたら「1ドルです」と答え、迷っていたら「75%に値引きしますよ」と追加回答します。その2では、最初から「75セントです」と答えます。結果は、その2が44%であるのに対して、その1が73%というものでした。追加作戦は、おまけも値引きも、およそ2倍近くの販売実績をもたらしたことになります。

 最初から全部を提示されるのと、最初に一部を提示してその後に追加でおまけや値引きを提示するのとでは、圧倒的に後者の方が契約成功の確率が高いということがこの実験で実証されました。

 なぜこうなるのかについては、「返報性の原理」で断りにくくなる心理(考慮してもらって申し訳ないという気持ち)と、「対比効果」で魅力的に感じる心理(最初の提示と、追加でおまけや値引きをされた提示では、後者が魅力的に思える気持ち)が働いているのだろうと言われています。皆さんの購買心理的にも、結果、理由ともに納得だと思います。

 後から好条件を追加する心理テクニックを「ザッツ・ノット・オール技法」と言います。これについては私の実体験として、昔、大口取引先であった某大阪本社の大手企業の部長に教えられた「値引き提示法」があります。

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